第20章 *強襲ファング*
レイラへと伸ばされていた手は届く寸前で止まっていた
レオナは動こうとしたが、彼の身体は巨大な幾つもの氷で覆われ、胸から上以外は全て氷漬けにされていた
化身にいたっては一際大きな氷が全身包み、まるで置物のように立っていた
ユウ『レイラが、新しい魔法を使えるようになったの?』
グリム『すげぇんだゾレイラ!見てみろユウ!レオナのやつ動けなくなってるんだゾ!』
ユウ『凄い...それに、キレイな魔法だ』
氷は淀んで黒く染まった上空の色を映すことなく、自ら光り輝いているかのような、美しい淡い白水晶だった
リドル『だが、ただの氷魔法ではないね』
ジャック『氷が、黒くなっていってやがる...!?』
ラギー『まさかあれ、レオナさんのブロットを吸収してる...?』
美しい白水晶がジワジワと黒く染まり始め、化身の姿も次第に薄れ始めていた
グリム『このままいけば、闇堕ちバーサーカー状態から抜け出せるかもなんだゾ!』
レオナ『っち!ナメた真似してんじゃねぇ!!!』
だがレオナの左目に灯る炎がその勢いを強めると、覆っていた氷がビキビキと音を立ててヒビが入り始める
そして、ついにレオナと化身を包んでいた氷はバキンッ!!と勢いよく破壊され、衝撃でレイラはその場に後ろから倒れ込んだ
『っぅわ...!!』
リドル『まだ扱いが慣れていなかったか!レイラっ!早くこっちへ!』
『リドルさ、っあ!』
レオナ『逃がすかよ!』
倒れ込んだレイラは急いでリドルの元へと行こうとしたが、上から化身の前足が乗せられ身動きがとれなくなってしまった
リドル『しまった...!レオナ先輩、彼女から離れろ!』
レオナ『黙ってろ!さっきはよくもふざけた事してくれたなレイラ』
『やめ...っ...レオ、さ...っぁ"!!』
レオナ『お礼にまずお前から消してやるよ』
化身は逃がさないように押さえる力を強めると、もう片方の前足を高く上げる
ケイト『ちょちょちょ!あれはさすがにヤバイって!!』
レオナ『じゃあな...永久に、幸あれ...』