第20章 *強襲ファング*
レオナ『は、はは...アァ、そうだな。そうだろうとも。お前の言うとおりだ...ははは!俺は絶対に王にはなれない...どれだけ努力しようがなぁ...!』
乾いた笑いに呼応するように辺りから物凄い圧力が広がっていく
グリム『なんだ!?全身の毛がゾワゾワするんだゾ!』
リドル『急速にレオナの魔力が高まって...っ!くっ、魔法封じが、持続できないっ!!!』
リリア『違う、これは魔力ではない。この邪悪な負のエネルギー...まさか!』
ケイト『みんな、伏せろ!』
ケイトの声に反応したレイラ達が咄嗟に身を屈めて伏せると、レオナの周りから衝撃波が生まれ、その勢いで首にかかっていたリドルの首輪がバキッ!と強制的に外されてしまった
『リドルさんの魔法が...』
レオナ『俺は生まれた時から忌み嫌われ、居場所も未来もなく生きてきた。どんなに努力しても、絶対に報われることはない。
その苦痛が、絶望が..お前らに分かるかァアア!!』
悲痛な叫びと共に、そんな彼の背後で猛獣の鳴く声が響き渡る
『ダメ...レオさん!ダメ!!』
黒いインクは心を染め上げ不屈の王者の精神を汚し、蝕んでいった
その淀みは宝石を濁らせ、彼の姿を変えていく
オーバーブロットした事により辺りは更に荒廃と化し、砂嵐が立ち込め重力に逆らって幾つもの石が浮かんでは舞い踊っている
レオナ『ガアアアッアアアッ!!』
獣の咆哮が地面を揺らし、背後から黒いインク入りの瓶の顔を持つ巨大なライオン型の化身が姿を現わした
左目にオレンジの炎を灯し、鋭い牙と爪を思わせる首飾りを提げ、黒き王と呼べるような漆黒の服に身を包んだレオナは、今にも襲いかかってきそうな構えをとっていた
ジャック『なんだ、ありゃ...!?レオナ先輩の身体から、でけぇ影が!』
デュース『あれは...ブロットの化身!』
グリム『アイツ、リドルみてぇに闇堕ちバーサーカー状態になっちまったのか!?』
『どうしよ...レオさんが...オーバーブロット、しちゃった...』
リドル『くっ...立てる者は自力で退避!エース、デュースは怪我人を連れて外へ。リリア先輩、先生達に救援を頼みます!』