第20章 *強襲ファング*
サバナクロー寮・レオナの部屋
映像がプツッと途切れ、過去の記憶に揺り動かされていたレイラの意識はゆっくりと覚醒していく。目を開けると、石と木でできた天井が視界いっぱいに広がった
『...はぁ...はぁ...今はレオさん達のところに行かないと』
記憶の出来事に様々な感情が押し寄せるが、振り払うように首を振るとベッドから飛び降る
『ブランケット...何でかけてくれたの...』
自身にかけられていたブランケットを手に取りそっと目を伏せると、綺麗に畳み部屋を出ようとした。すると、窓の向こうからガヤガヤと騒がしい人の話し声が聞こえ、レイラは窓に駆け寄ると耳をピンと立て声を拾う
『....レオさんにハイエナさん。ユウやエース達もいる...リドルさん達も?みんないるんだ...早く行かないと、やな予感する』
持ち前の耳の良さを生かし状況をざっくりと察したレイラだったが、最後に聞こえた声に全身の毛が逆立つような寒気が襲った
『ハイエナさん!?どうしよう、ハイエナさんが..!!』
マジフト場から怒号の後にラギーの苦しげな声が耳を掠め、急いで窓から離れ部屋を後にすると、無我夢中で走りサバナクロー寮を出ていった
サバナクロー寮・マジフト場
息を乱しながらマジフト場に到着したレイラの眼前には何かに苦しむユウ達の姿があった。辺りには黒い砂埃が舞い散り、不穏な気配が充満していた
苦しんでいたのはユウ達だけではなく、サバナ寮生までもが地面に膝を付きもがいていた。中でもラギーはこの状況の中で唯一平気で立っているレオナによって首を掴まれ、一際苦しみの声をあげていた。
全身の水分が消えていくかのように、ラギーの腕や頬にひび割れが見えていた
レオナ『これが俺のユニーク魔法。"王者の咆哮(キングス・ロアー)"皮肉だろ?何より干ばつを嫌うサバンナの王子が持って生まれた魔法が...全てを干上がらせ、砂に変えちまうものだなんて!』
ラギー『レオナ...さ...っ苦し...っ!』
それ以上は危険だと判断したリドルがユニーク魔法を使いレオナの魔法を封じようとしたが、首輪はレオナに填まる前に弾き返されてしまった