第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
結果的には自分の早とちりで終わったが、それでもその瞬間に味わった恐怖は凄まじく、レイラにその気がないと知れただけでもシルバーにとっては十分だった
大切な相手がここにいる。それをもっと感じたくて長い黒髪にそっと顔を埋め息を吸い込むと、優しい香りが肺を満たし、ようやく忙しなく脈打っていた鼓動が落ち着きを取り戻し始めた
『えっと、なんか困らせちゃったみたい..ごめんなさい』
シルバー『いや、俺の方こそすまない。気持ちが急いておかしな挙動をとって、またお前に迷惑をかけてしまった』
『ううん。私もユウに危ないからだめって言われてたお膝までのとこまで来ちゃったから、シルバーさんに心配させちゃったんだよね?
だから、ごめん』
シルバー『いや、お前が謝ることじゃない。だが、膝までの水位に不用意に近づいたことは反省してほしい。いつ高波が来て攫われるか分からないだろう』
『むぅ....』
シルバー『...レイラ。一ついいだろうか?』
『ん?』
シルバー『こちらを向いてくれないか?きちんと真正面からお前を抱きしめたい』
その願いに2つ返事で答え、緩んだ腕の中でモゾモゾ動きながら向かい合わせになるとすぐさま抱き直され、少し苦しさを感じながら見上げたオーロラの瞳には、動揺の奥に情愛の熱が灯り小さく揺れ動く
『...怖がらせてごめんね。私はどこにも行かないよ』
目元に光るものを見つけ頬を優しく撫でると、瞬きでそこから一筋の熱い雫が伝い落ち、添えた手に留まったそれを指で優しく拭っていく
シルバー『っ、すまない。お前を失うと思うと、自分でも信じられないくらいに動揺したんだ。あのまま海に身を投げそうなお前の背中は...とても、恐ろしかった』
『行かないよ..ここにいる。シルバーさんと一緒にいるから』