第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
『!..(シルバーさんの手、すごく震えてる)』
次第に震える声に合わせて抱きしめる腕も小刻みに震えだし、彼がなにかに酷く怯えていることはすぐに分かった。しかし、その理由は未だに理解することはできなかった
『ね、ねぇ..』
シルバー『だが、どうか考え直してくれ!きっとこの後も苦しく辛いことが待っているのは分かっている。だからこそ、俺にはお前が必要なんだ!
側にいて、共に歩んでほしいんだ...
勿論、これからの戦いでは誰よりも守ると誓う。不安があるならば、抱え込まずに何でも相談してくれて構わない!』
『あの、話..』
シルバー『だから、どうか自決だけは..!!!』
『シルバーさん!私のお話聞いて!』
シルバー『!?』
何度目かでようやく止まったシルバーに疲労感がどっと押し寄せる。もう、と少しだけぼやきながら回された腕にそっと触れゆっくり手の甲を撫でていく
『私はただ、起きたらとっても暑かったから、海に入りたいなって思っただけだよ』
シルバー『え..入水しようとしていたわけではないのか..?』
『?よくわかんないけど、怖いことは考えてないよ。それに、もう戻ろかなって思ってたところだったの』
シルバー『ーーーっ、そ、そうか..俺の早とちりだったのか。そう、だったのか..
はぁ...っ、よかった.....』
心からの安堵にため息が漏れる。安心感で脱力するとはずの腕の力はレイラを逃さないと言わんばかりに無意識に強まった
数秒前、ふと目を覚ましたシルバーの目に最初に飛び込んできたのは、膝まで海に浸かり佇み今にも命を絶とうとしているかのようなレイラの後ろ姿
その背中を見た瞬間に暑さなど忘れるほど一気に血の気が引いていく感覚に背筋が凍りつき、気がつけば必死に砂浜を蹴り、海へ飛び込みその身を抱きとめていた
てっきりこれまでの過酷な旅に心を病んで入水しようとしていたのではと思いこんでいたシルバーは、目の前で愛しい大切な相手をもう失うものかと必死に言葉と体で引き止めようとした