第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
トレイ『弟に心配かけて、泣かせて...イデアは悪い兄ちゃんだなぁ』
オルト『兄さんは、悪くない..全宇宙で一番、天才で....』
トレイ『うんうん、オルトの言う通りだ。イデアは宇宙一の天才だし、きっと大丈夫だよ。だから安心して休め...な?』
オルト『ゔぅっ..ひぐっ..僕、僕..』
『オルト』
オルト『レイラさん?』
トレイ『おっ。俺たちの中で1番の慰め上手が来たぞ』
ここまでずっと成り行きを見ているだけだったレイラが来たことに、嬉しそうに笑いながらトレイは頭から手を離した
交代するように目の前まで来ると機械の手を取り、未だに涙を流し続けるオルトの頬にも手を添えて落ちていく雫をそっと拭う
オルト『ぐすっ..レイラ、さ....わっ』
手を離されたと思えば突然抱きしめられ、軽い当たりに驚いた拍子に涙はピタリと止まっていた
ボディから伝わる温もりがじんわりと全身に伝わっていき、その温もりは奥底で脈打つコアまで届き、優しく包みこんでいくようだった
オルト『な、なんで..?僕の、機体を..』
『オルト。オルトはいっぱいいっぱい頑張ってるよ。夢を渡るときも、渡ったあとも周りのことを調べてくれたり、みんなが元気か診てくれてた。戦うときだって私たちのサポートしてくれて、さっきだって私とデュースのことをこんなにボロボロになるまで守ってくれた。
落ち込んでるときも優しくしてくれて、手だって握ってくれた』
オルト『あれは........そっか、無意識、だったのかな..?』
『すごく嬉しかった。私たちオルトにたくさん助けられて、みんなありがとうって思ってる。だから今、お月さまのことで心配してる貴方のことを助けたい。だからトレイさんも、シルバーさんもああやって触ったんだよ。
私も、貴方を助けたい。ちょっとでも安心してほしい。何もできないけど、こうやってギュッてして撫でてあげることしかできないけど..』
強く抱きしめ自分より小さな背中を撫でていく。機体の凹凸をゆっくりとなぞりながら、体温を分け与えるように頬を寄せる
腕の中で聞くレイラの言葉は、まるで水にインクを落としたようにジワリとその色が薄く広がり、やがて混じり合い自分の一部となっていく