第108章 *ツイステ7章 ー最終戦ー(夢世界)*
ついに不安が限界を超え、顔を覆う鋼鉄のギアからポロポロと大粒の涙が零しながら、オルトは子供のように泣き出してしまった
ケイト『ありゃ?オルトちゃん、泣いちゃった』
オルト『な、泣いてる?僕、泣いてるの?わがらな"い"...視覚モジュールが故障しで、ひっぐ、冷却水が漏れちゃゔぅ〜!
ゔぇえぇ..っ!』
トレイ『それは冷却水じゃなくて、涙だろう。まあ、人間も感情を落ち着かせるために涙を流すっていうし..冷却水ってのも間違いではないな』
セベク『何を冷静に解説している。元はといえば、貴様の言葉がきっかけでオルトを不安にさせたんだろう!慰めの言葉の1つや2つ、かけてやらんか!』
トレイ『えっ、俺のせい?参ったな。うーん...』
突然慰めを振られ頭を悩ませていると、何かを思いついたのかパッと顔をあげ、オルトに向かって手を伸ばした
トレイ『オルト、頭に触ってもいいか?
..というか、俺の手は無事でいられるか?』
オルト『ぐすっ、僕の髪、特殊なガスで作った、ひぐっ、低温の炎だから..さ、触っても平気だけど..どうして?』
首を傾げるオルトの頭にそっと触れると、たしかに炎の割に熱さはほぼ感じず、温かい空気が下から手のひらに吹き上げた
トレイ『昔、弟や妹が泣いてる時は、こうやって頭を撫でて..うわ!なんというか、エアダスターの風を手のひらに当てられてるみたいな、不思議な感触だ。お前がこれで落ち着けるかは分からないし、ただの気休めかもしれないが...
うちの1年生たちを守ってくれてありがとう』
炎の髪が指の間から小さく揺れ、その下にある硬い頭のパーツを大きな手が優しく撫でていく。ポカンとするオルトをよそに、トレイは言葉を続けて小さく微笑んだ
トレイ『俺たちが見ていなかった他の寮生の夢の中でも、お前はずーっと戦ってきたんだろ?よく頑張ったな、えらいぞ。オルト』
オルト『だって、うっ、僕はそのために生まれたんだ。なのに、兄さんに何かあったら、僕..うぅっ..!』