第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
よいしょっと、とおぼつかない足取りでセベクの肩に手をかけその広い背中に体を預ける
その体の小ささと細さゆえ、てっきり軽量のボディと思われたそれはまるで鉄の塊何十個分のような、下手すれば同体格のシルバーよりも遥かに重かった
セベク『ぐぅっ..本当に重たい!!』
オルト『精密機械だから落とさないでね♪』
トレイ『ヨタヨタしてて見てて危なっかしいな。魔法で浮かせてやった方が良さそうだ』
ケイト『セベクちゃん、オレたちも運ぶの手伝うよ♪』
セベク『ううっ、やめろ!実家の兄と姉に世話を焼かれているようで背中がむず痒い〜!!』
リドルの覚醒に全員が喜びを噛み締めている一方、事の終わりを見届けていたレイラは、目の前でケイトに抱きしめられるリドルのはにかんだ笑みに、まだ乱れる呼吸を落ち着かせながら心から安堵した
『はぁ、はぁ、はぁ...っ!(よかった..みんな無事で..)
あっ..』
輪に加わろうと踏み出した途端、カクンと膝の力が抜けその場にへたり込んだ。激しい戦いが終わったことでアドレナリンが切れ、一気に体の力が抜け落ちていた。同時に体中の傷も一斉に痛みだし、耐えるような苦悶の声が溢れだす
『ーーーっ!!ぐ、ぅぅぅっ..!!』
それでも、早く彼らのところへ行って全員の無事を共に喜び合いたい。大好きな温もりに包まれたい。そんな想いを巡らせ殆ど力の入らない手を地につける
『(はやく、みんなのとこに...また心配させる。リドルさんにも、会いた....)』
"二度とこの寮に足を踏み入れるなと言ったはずなのに、よくもノコノコと来れたものだね!!"
"大した魔法も使えず、いつも人に寄生するようにくっついて、1人じゃ何も出来ない役立たず!
この..呪われた忌み子が!!"
"お前なんかに起こされたくない!お前みたいな醜悪な化け物と肩を並べて過ごす現実なんかにもう戻るものか!!"
"この世界に、ボクの世界にお前などいらない!!"