第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
ここまでの戦いで蓄積されたダメージが積もりに積もった一撃はリドルへと真っ直ぐ振り下ろされ、その衝撃の強さに脳が震え、それが覚醒への流れを一気に押し進めた
脳裏によぎるあの日の思い出。オーバーブロットした自分をエースたちによって救われ、圧政を強いていたことを懺悔したこと
泣きながら自分の本当にしたかったことを吐露したこと
嘆きの島から戻ってきた自分をトレイとケイトが温かく迎え入れてくれたこと
そして、レイラと秘密の花園で2人きりの穏やかな時間を過ごしたこと
ここに来るまでの現実での思い出が彼を覚醒させ、夢の殻が音を立てて割れ落ちた
リドル『ああ..ボクは、目を醒ましてしまったんだね。思い出した、全部...』
剥がれ落ちていく夢の自分を少しだけ名残惜しく思いながら、甘い夢に浸り昔のような暴君に戻っていた自分が離れていくことに何処かホッとした様子で天を見上げた
さっきまで曇天だった空に青空が見え始め、差し込む光が眩しいと目を細めると、バタバタバタといくつもの足音が聞こえ、気がついたときには大きな体に抱きしめられていた
『『リドルーー!/リドルくーーん!!』』
リドル『トレイ、ケイト..』
ケイト『ああもう、良かった..良かったよぉ〜〜!リドルくん、もぉ〜〜〜!』
リドル『く、苦しいよ、ケイト..』
トレイ『はぁ..夢から醒めたらお前たちと話したいことが沢山あるよ』
リドル『....なら、たっぷりとお茶を入れなくてはね。トレイ』
この夢の旅で感じた嬉しかったことも、悲しかったことも、改めて気づいたことも、ずっと言いたかったことも
きっと楽しいだけのお茶会にはならないが、それでもそれぞれの心に秘めていることを、紅茶と共に奥底に流し込むのではなく、その香りと共に表に出そうと3人は互いに顔を見合わせて頷いた