第19章 *叛逆ビギニング*
ラギー『...バレた時の本来の計画だったら、お姫様が俺達を庇ってアイツらと意見のぶつかり合いの末仲違い。んで、オレらのところに泣きついてそのまま良い感じに言いくるめてウチの寮生に...って感じだったんすけどねぇ?これだと寮生にするっていう計画は多分パアっすよ?』
レオナ『構わねぇよ。またその時に考えればいい』
ラギー『そうっすか...。そういやあの睡眠薬ってどんだけ持つんすか?』
レオナ『今から計算すると丁度大会が終わる夕方まで。かなりの持続時間があるが体には負荷がかからないタコ野郎渾身の睡眠薬だそうだ』
ラギー『寝て起きたらもう全部終わってました、ってやつっすね』
レオナ『あぁそうだ。それよりも、もうすぐ選手入場の時間だ』
ラギー『準備万端、いつでも行けるっすよ』
レオナ『トップバッターは去年優勝寮のディアソムニア様だ。フッ...胸が高鳴るじゃないか』
ラギー『シシシッ!じゃあ行ってくるっす!』
そう言うとラギーはその場にレオナを残しサバナクロー寮を走って出ていった
サイドストリートでは、まもなく選手が入場してくるという校内アナウンスに、来客や生徒達が期待と興奮でザワザワし始めていた
先陣を切って入場し始める去年優勝寮のディアソムニア寮の選手達に、周りの歓声は早くもヒートアップしていた
ラギー『おー、凄い見物人の数っすねぇ。これだけいれば...シシシッ!まず、アズールくんから貰った魔法薬を』
ポケットから小さな小瓶を取り出すと、蓋を開けその中身を一気に飲み干した。だが余りの不味さに酷く顔を歪め吐きそうになるのを抑えた
ラギー『うっぷ...気を取り直して、いくっすよ。オレのユニーク魔法!さあ、ヌーの群れみたいにみんなで走れ!"愚者の行進!(ラフ・ウィズ・ミー!)"』
選手達の姿を一目間近で見ようと集まった観客達にペンを振るうと、まるでヌーの群れのように観客達が走りだし、次々と周りを巻き込んで大勢の軍団となり、選手入場の列へと突っ込んでいこうとしていた
ラギー『へ、へへっ...アズールくんの魔法薬、スゲー!こんな人数を操れるなんて!』
だが、その分の魔力と体力の消費は尋常ではなく、一気に押し寄せてきた負荷にラギーの体がフラリと片寄る