第19章 *叛逆ビギニング*
レオナ『だがここでお前が俺達を庇って気の利いた事でも言って話を振り出しにしてくれりゃ良かったものを...どうやら俺の検討違いだったようだな』
役に立たねぇ兎だ、とレオナはレイラの首元に顔を埋めると、その細い首筋を舐めあげ牙を立てて噛みついた
『ぃ"...たっ...!レオさ...ゃ..やめてっ...!っあ"...っ!』
グルル...と唸り声をあげながら強く噛みつくその姿は正に捕食者が獲物にとどめをさしているようだった
顔を離すとレイラの白い肌にくっきりと噛み痕が痛々しいぐらいに浮かび上がり、レオナはそれを見て満足した笑みを浮かべた
『ぅっ...ひ..どい...よ...』
レオナ『恨むんなら信じきった自分を恨んどけ。さて、草食動物どもが変な気を起こす前に俺達も最後の仕上げにかからないとな』
『レオさん、もう止めて...それにきっと上手くいかない...ユウ達が...なん、とか...あれ...?』
突然レイラの瞼が重く下がり始め急激な眠気が襲ってきた。必死に意識を繋げようとするが、体は言うことを聞かず、段々と目の前のレオナの姿さえも歪んでいく
レオナ『やっと効き始めたか...即効性だって言ってたじゃねぇかあのタコ野郎。まぁいい、お前はここでリタイアだレイラ』
『まっ...だ、め...』
レオナ『次に目覚めた時には大会は終わってる。お前は何も出来ずにそこで眠ってろ』
『レ..オ..さ...』
レオナの名を呼ぶのを最後に、レイラの意識は完全に途絶え静寂が部屋を包み込んだ。閉じられた瞼からは涙が一滴静かに伝い落ちた
レオナ『....』
静かに眠りにつくレイラを見下ろしながら、形の良い眉をひそめると、その体を横抱きにしてベッドの中央まで移動させ、その上からいつも自分が使っている大きなブランケットをかけた
ラギー『良いんすか?』
レオナ『何がだ...』
ラギー『そんな嫌われるような事言って』
ラギーの言葉を背に受けつつ、レオナはレイラの頬に手を滑らせながらそっと涙を拭うように瞼にキスをすると、彼女に背を向けて部屋を後にした
レオナ『事実を言っただけだ。疑うことを知らねぇアイツにも良い勉強になっただろ』