第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
オルト『対霊素法則転写障壁、出力低下!臨界点まであと、5、4、3..っ!』
バキッ!!
レイラがいなくなりサポートしてくれる相手を失ったオルトは、リドルの猛攻に耐え続けその距離を少しずつだが近づけていた
しかし、その限界はすぐに訪れ、エネルギーの消耗によって魔導障壁の威力は一瞬にして落ちていく
それを見逃すリドルではなく、落ちた瞬間に攻撃魔法を浴びせ、その衝撃でボディに搭載されたパーツの一部が嫌な音を立てて砕け吹き飛ばされた
リドル『あはっ。それ、取れてもいいパーツ?このままじゃ、全部吹き飛んでしまいそうだね!あはははは!』
『.....』
エース『レイラ..オレ、オレ......っ!?』
震えが止まらない己の手を見つめながら、うわ言のように言葉を零していると、突然温かいものが胸に飛び込み強く抱きしめられた
背中を擦る手は小さくて傷だらけのはずなのに、まるで大きく優しいものに包まれているかのような心地にさせる
エース『レイラ..?』
『ん。怖いよね、不安だよね。私もその気持ちはよく分かる。
でも、でもね..少しでも勝てるかもしれないなら、何かの役に立つかもしれないなら、怖くても自信なくてもやってみればいいの』
エース『え..』
リドル『ボクに逆らうからこうなるんだよ!君らも、あいつも!
あははははは!!!』
『私は何にもできなかったけど、この匂いで分かる。エース。貴方のその魔法はきっと..ううん、絶対にみんなを助けられる。
エースはとっても頭がいいから、色々考えちゃうんだと思うけど..今だけでいいから、ダメだったときのことは考えないで、みんなを助けることだけを考えてみて』
体を離し震える手を取ると、あまり力の入らない手でキュッと握りしめ擦り傷だらけの顔でそっと微笑んだ
『エースなら、絶対に決められるよ』