第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
目醒めているはずなのに痛む頭の原因も分からないまま、とにかく落ち着けと自分に言い聞かせ、縋りついたセベクの腕に少しだけ体を預けると、大きな手が肩をそっと抱き寄せた
セベク『....とにかく、あの集団と鉢合わせないようにしつつ、リドル先輩の元へ一刻も早く戻らねば』
グリム『つっても、どうやって戻ればいいんだ?くねくね何度も曲がったから、帰り道がわからねぇんだゾ
セベク『そんなもの、この迷路を形成している薔薇の木に登ればすぐに..』
エース『いやいや、ちょい待ち!この薔薇の木は全部、魔法植物なんだよ。しかも今は"右往左往の刑"のルートになってる』
ユウ『ぇ、これ全部に魔法かかってんの?てか、右往左往の刑って?』
エース『基本的には寮長の命令で動くようになってる。てか季節に関係なくいつも薔薇が満開だなんて、普通はありえないだろ』
グリム『深く考えたことなかったけど、そう言われりゃそうなんだゾ』
エース『ハートの女王の法律・第63条、法廷で女王を激怒させた者は、トランプ兵に追われて迷路を走り回らなければならない。まあ実際のとこ、第63条が執行されて全員で迷路を走らされることはほぼない。
それよりは学園が行事で外部に解放されてる時に、一般の人間がに入らないようにするためとか..何かトラブルが起きた時に寮を封鎖する目的で使われることが多いかな』
セベク『寮を封鎖する目的ということは..』
エース『そ、木に登ったり上を箒で飛び越えようとすると、薔薇がトゲのついた蔓で攻撃してくる。そもそも走り回らせるのが目的のルートだし、横着は当然NGってわけ』
セベク『ディアソムニアの跳ね橋の下に生息している茨..あれらも魔法植物で、緊急時には侵入者を排除すると言われている』
エース『魔法をかけた植物で城や街を守ったりするのは、昔はメジャーな防衛方法だったってトレインが授業で言ってたしね』
セベク『我が寮では若様が寮長に着任されてからは、有事の際には若様が魔法障壁を張ってくださるゆえ、あの茨の出る幕はないようだがな!』
グリム『なんでおめーが威張るんだゾ』
タッタッタッ...!