第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
『っ...リドルさん』
抑えきれない感情が溢れ出し激しい嘆きの声が響き渡る。声だけしか聞こえない悲しみに胸が酷く痛みだし、天井にいるリドルがどんな表情で涙を流しているのか、顔が見えなくともその歪んだ表情が容易に理解できた
『なんとかして、泣きやませてあげないと..』
ザバァァァァ!!
ユウ『今度はなに!?』
シルバー『閉じていたドアからも水が流れ込んできた!』
エース『いや、ちょっ..寮長!一旦話し合おう!?ゴボゴボッ!』
トレイ『チェーニャ!頼む、リドルに会わせてくれ!お前ならあいつがどこにいるか知ってるんだろう!?』
チェーニャ『うーん。知っとるといえば知っとるし..知らないといえばしらにゃあ』
シルバー『ううっ..水位が、どんどん上がって..っ!ゴボゴボ..っ!』
『みんな....っごほっ!う、ぷっ..!』
チェーニャ『.......おみゃーら。リドルを起こしに来たんだろ。やめといてやれよ。あいつ、夢の中の方がずーっと楽しそうで、幸せそうだったじゃにゃーの』
『しあ、わせ..?』
チェーニャ『そう。優しいママとパパ。魔法なんか使えなければ、しんどい勉強も必要にゃあ。目が醒めたらこの部屋の壁に貼られた家族や俺たちとの楽しい思い出も、ぜーんぶ消えちまう。
それでも、おみゃーらはリドルを起こすのかい?』
頭だけになって呑気に浮かぶチェーニャ黄金の瞳は、まるでこちらを試すように、脅すように、そして僅かな怒りを孕んで真っ直ぐ見つめる
それでもレイラたちは、高い波に今にも溺れそうな体でもがきながら、決意を秘めた瞳で見つめ返す
レオナ『ゴボッ..俺は何の事情も知らねぇがな!1つ分かるのは、魔法も勉強も逃げ出せばああは尖れない。折られようが毟られようが、あいつは尖りに尖がった棘で全てをぶっ刺しながら伸び続けてきたんだろ。
この俺に一度ならずニ度までも首輪までかけたバケモン(怪童)が、ここで萎れるって?』