第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
トレイ『いや、おそらく違う。ハートの女王が治めていた国では、何かを食べたり飲んだりすると..身長が伸びたり縮んだりするって伝承があるんだ。
リドルはハートの女王を心から尊敬してる。だから自分が支配する夢の世界に、同じルールを適用していてもおかしくは..うわっ!?』
ザァァァァァァ....
ユウ『は?雨!?』
デュース『家の中なのに雨が降ってきた!?』
突然降り出した大雨に膝までだった水位が、みるみるうちに腹から胸へと上がっていく。一番身長の低いグリムはついに浮力で体が浮かび始め、次点で低いレイラも口元まで紅茶が迫っていた
グリム『ふなぁっ!!大洪水なんだゾ!オレ様、もう足がつかねぇ!』
『うぷ..っ、私も..っげほ!』
デュース『瓶やカップが浮かんでる!みんなそれに乗るんだ!レイラ、僕の手を掴め!』
『うぶっ!はぁ....あれ?なんかしょっぱい。これって、』
身長が縮んだことで周りのカップなどの調度品がボート代わりになると、全員急いで近くのカップへと乗り込もうと泳いでいく
ユウ『げっほげっほ!まさか一寸法師よろしくカップに乗ることになるとはね』
波にさらわれかけながらも、何とかティーカップの縁に手をかけたその時
?『ううう..ひっく、グスッ..ひっく!ここから出たい、出たいよぉ..!』
頭上から聞こえるか細い嘆く声に顔を上げる。そこには真っ暗な天井しかないはずなのに、奥に空間が続いているかのように、どこからか聞こえる嘆きの声が深く反響する
『この声..リドルさん!』
トレイ『リドルだって?..ゴホゴホッ!』
レオナ『ぶはっ、てめぇ..どこにいやがる!出してやるから、さっさと答えろ!』
?『でも鍵がないんだ...ううう....うわあああん!』
強くなっていくリドルの泣き声に呼応するように、降る雨もその勢いを増していく。紅茶の水かさはどんどん増え、あと数分もしないうちに家全体に満たしそうな予感を与えた
ケイト『まさかこの雨、リドルくんの涙?』
『リドルさん、泣かないで。みんな溺れちゃう!良い子、良い子だから..』
リドル『でも、でも止められないよぉ..ひっく、ひっく...!
うぎゃああああああああん!!!』