第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
聞き覚えのある呑気な鼻歌に辺りを見渡すが、その姿はどこにも見えず、こちらをからかうような声色の笑い声だけが部屋のそこかしこから聞こえてくる
チェーニャ『ふふふ..どこかにゃぁ』
エース『どこでもいいけど、オレらを外に出せよ!』
デュース『ドアも窓も、全部鍵が締まってて出られないんだ!』
チェーニャ『当たり前だろ、おみゃーらなんぞに道があるわけないよ。この家は全部、女王様のものなんだから』
ポンと現れた首がふよふよと浮かび、紅茶の海に浸かっていない大きな戸棚に登ると、じわじわと体が出現していく
優雅に腰掛けたチェーニャは、紅茶にまみれたこちらを愉快そうに見下ろし長い尻尾をゆらりと振った
レオナ『女王ってのは、リドルのことか?そのリドルはどこにいる』
チェーニャ『さあねぇ。あっちかもしれないし..こっちかもしれんにゃぁ』
レオナ『この舐め腐った縞猫が..そっちがそのつもりなら、この家ごとてめぇを砂に変えてやってもいいんだぜ!』
ガチャンッ!!
レオナ『あ"ぁっ!?この首輪は..っ!』
突然の首の重みに気づき視線を落とすと、去年のマジフト大会の事件で食らったあの魔封じの首輪。リドルのユニーク魔法、"首をはねろ"にかかっていた
エース『それ、寮長のユニーク魔法の..一体どっから!?』
チェーニャ『さっき言われただろ?家から出ようとするやつは首をはねてやるって。ここは女王の城。ぜーんぶ女王様の意のままさ』
レオナ『くそっ、外れねぇ!おいトレイ、てめぇのユニーク魔法でリドルの魔法を上書きしてこの首輪を外せ!』
ケラケラと笑うチェーニャを横目に、唯一リドルの魔法に対抗したことのあるトレイに外すよう迫るが、毎回できるわけではないため首を横に振られた
それでも早くやれと鋭い睨みを利かせ胸ぐらを掴まれ、慌ててトレイはユニーク魔法を詠唱した
しかし..
ガチャンッ!!
トレイ『うがっ!?な、なんで俺まで!?』
チェーニャ『外に出ようとしてるやつを助けるなら、おみゃーも同罪だ。当然だろ?』
レオナ『ちっ!やっぱりそうなるか』
トレイ『おい、やっぱりって言ったか!?俺を使って試しただろ!』