第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
ほぼ頭から被ったせいで全身から漂う紅茶の匂いと、服が張り付くベタついた感覚が気持ち悪く、今後の戦闘のことも考え全員寮服へと着替えた
『ぅぅ..足べちゃべちゃ』
ユウ『水没する前でほんと良かったよ』
シルバー『レイラ。異変に気づいて引き止めてくれていたのに..判断が遅くてすまなかった』
『ううん。私も、言うのが遅くてごめんね』
セベク『しかし、わけがわからない。母親のNPCが大量の紅茶の激流に変化したというのか!?』
イデア『今までの夢で、人間のNPC以外が闇に変化したことはない。でも家自体が闇に変化したとなると..最初から人間のNPCは1人もこの家に存在してなくて、家自体が喋ってたって可能性がある』
オルト『つまりこの家自体が、リドルさんを夢に耽溺させ閉じ込めるためのトラップハウスであり..リドルさんを覚醒させようとする僕らを消滅させるためのモンスターハウスでもあるってこと..?』
『『『『えっ...?』』』』
エース『じゃあ、ずっと声が聞こえてた寮長のお母さんは?』
ケイト『...リドルママって、キッチンから声は聞こえたけど一度も姿を見せなかったよね』
イデア『夢の世界では、イマジネーションさえ働かせれば何でも具現化可能だ。でも、想像できないものは正確に具現化すらできない。つまり..』
『リドルさんがイメージできる"優しいママ"は、声だけだった..?』
何もない、誰もいない。そんな事実の片側を掴み、この虚像だらけの空間に閉じ込められていることに改めてゾッと背が震えた
デュース『じ、じゃあ即興で冒険譚を作って読み聞かせてくれる、書斎にいるお父さんは?』
シルバー『..確かめてみるか?』
レオナ『よせ、どうせ母親と同じオチに決まってる。今度は紅茶じゃなくて、紙の原稿がなだれ込んでくるかもしれないぞ』
グイッ!!
ボチャン!!
セベク『うわっ!?』
突然、体がグンッと沈みこみ足の踏ん張りが効かなくなる。床が消えたのか足が中に埋まっているのか、まるで底なし沼に入ってしまったようにズブズブと沈んでいく
セベク『なんだ!?急に足が何かに掴まれた!』
『ゃ、わ、わ、黒い手みたいなのが..うっ、ごほっ!』