第19章 *叛逆ビギニング*
ユウ『こんな朝早く?』
『朝早くだから...』
ユウ『危ないところに行かないよね?』
『....ん。行かないよ』
ユウ『必ず僕たちのところへ帰ってくるって約束できる?』
『....』
ユウ『レイラ』
『...帰ってくるよ、必ず。行ってきます...』
儚い笑みを浮かべてユウの額にキスを1つ落とすと、そのまま音もなく部屋を出ていった
ユウ『レイラ...』
グリム『...止めなくて良かったのか?』
ユウ『グリム、起きてたの?』
グリム『レオナが主犯って知ってからのアイツ、変だったから何となく予想してたんだゾ』
足元で丸まって眠っていた筈のグリムは珍しく目を覚まし、レイラの出ていった扉の向こうを見つめていた
ユウ『ツラい中、あの子が決断したことだから僕は止めるべきじゃないと思ったんだ。でも...ちょっと心配ではあるけれど』
グリム『いじめられて帰ってくるかもしれねーんだゾ?』
ユウ『行き先は何となく分かってる。あの人はきっと...レイラに酷いことはしない』
グリム『....むぅ。ふぁ~あ..オレ様まだ眠いんだ...ゾ』
若干納得のいかないグリムだったが、早朝ということもあって再び襲い来る眠気に抗うことができず、瞼をゆっくり閉じてまた寝息を立て始めた
ユウ『おやすみグリム。きっとレイラは大丈夫だよ。大丈夫、だよね...?』
オンボロ寮を出て鏡舎へと走っていくレイラ。誰も連れずに一人で行動するという事に恐怖を感じていないわけではなかったが、何とか奮い立たせながらひたすら走っていた
早朝とはいえ大会当日ということもあって、辺りには人の姿も僅かながらにはあり、黙々と会場や出店の準備に取りかかっていた。そんな彼らを横目で見つつも、鏡舎へたどり着き急いでサバナクロー寮への鏡を渡った
サバナクロー寮・談話室
『お邪魔...しま、せんでした』
サバナクロー寮に入ったのは良かったものの、すぐそこの談話室にはサバナ寮生が数人既に起床しており、ガヤガヤと対話していた
先日の件もあり、彼らに会うのが怖くなったレイラは思わず後ろに下がっていきそうになった。だが、その時急に自分の足が談話室へと進みだし始めた