第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
リドル『初めて?そんなはずはないだろう..ああ、模様替えをしてから初めてって意味かい?壁に飾っている写真が増えすぎてしまってね。大きなチェストをどかしたんだ』
オルト『そういえば、壁にたくさん写真が飾ってあるね』
リドル『家族の思い出の記録だよ。ふふふ、いいだろう?』
チェーニャ『....んん〜?ふんふん..』
突然周囲に向けて鼻をヒクつかせると、人の何倍もある嗅覚を持つ猫の鼻は、その甘く香ばしい匂いを見事に嗅ぎつけた
チェーニャ『トレイ、おみゃーが持ってるその白い箱。さっきからすごくいい匂いがしてるにゃぁ』
トレイ『実は、手土産にイチゴタルトを持ってきたんだが..』
リドル『イチゴタルト!?』
トレイ『あっ、やっぱりダメだよな!?すぐに片付けるよ』
驚いたような声にビクッと肩を揺らし全身に緊張が走る。軽いパニック状態を起こしながら、慌ててタルトの入った箱を後ろ手に隠す
すると、片付けると聞いた瞬間、狙いすましたようにグリムが足元へと駆け込み、箱めがけて両手を広げた
グリム『オレ様の出番だな!いっただきまぁーーす!』
リドル『だめーーーーーーっ!!!』
グリム『ふなっ!?』
『ひぅっ!!』
ユウ『大丈夫、大丈夫。怒ってないよ』
突然叫んだかと思うと、グリムに渡る寸前にタルトの箱を奪い取り、大事そうに小脇にしっかりと抱え込んだ
リドル『このタルトは、ボクへのお土産なんだろう?なら、このタルトはもうボクのものだ!ボクの許しなく、食べてはいけないよ!!』
グリム『ちぇっ。トレイのタルトを全部食べられるチャンスだと思ったのに』
リドル『ママ〜〜!!トレイがイチゴタルトを持ってきてくれたよ!』
『!!』
トレイ『お、おい!そんなこと伝えて大丈夫なのか!?』
再び凄まじい緊張がトレイを襲う。心の準備もままならないまま、リドルの母親にタルトを持ってきたことを告げられ、部屋の内装に気を取られていたケイトたちも無意識に体に力が入る
ここでリドルの母親がどんな反応を返すかによって、この先の行動全てが変わってくる重要な場面。しかしそれ以上に、もしタルトを持ってきたことが母親の逆鱗に触れたらと、恐怖を抱くほうが強かった