第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
トレイ『.....』
エーデュースたちが自分たちの服装を整えている一方、トレイは先程からずっと無言で唇を固く結び、視線を落ち着きなく彷徨わせていた
かつてリドルを遊びに連れ出しタルトを食べさせたのを知られ、リドルの母親が店に押しかけ5時間もの説教を食らったあの日
止むことのない怒り狂った声。そんな母親に縋り許しを請うリドルの泣きじゃくる顔。ひたすら謝る両親の背中
その全てがトラウマとなり、未だに彼の心の奥底にこびりついて取れない恐怖として沈んでいた。それがリドルの家に行くというトリガーによって再び恐怖が浮き上がっていた
『!トレイさん、お顔が青いよ』
ケイト『大丈夫、トレイ?たしかに今、けっこー顔色やばいよ』
トレイ『いや、心配ないよ。ただ、1つ気になることがあって...
手土産に持ってきたイチゴタルト、今のうちにそこの公園のゴミ箱に捨てておくべきだと思うか?』
『だ、だめだよ。もったいない』
ケイト『そうだよ!まだどうなるかわかんないからっ!てか今のリドルくんの格好とか行動を見てると..夢の中のママはガチガチ教育ママじゃない可能性の方が高いと思うんだよね』
トレイ『確かに、"あの"母親があんな格好を見たら、卒倒するだろうな。それに、ルール違反をして警察の世話になってるなんて知ったら、2度と家から出してもらえなさそうだ』
ケイト『レイラちゃんの黒兎作戦はひとまず効かなかった。だからリドルママがそのタルトをどうするかで、この夢の世界での大きい情報が1つ得られる』
トレイ『ケイトの言う通りだ。さすが、冷静だな』
ケイト『まず、オレがお前の立場なら、リドルくんの家には行かないって断ってるよ。いざとなったら、タルトはグリちゃんの口に詰め込んじゃえ』
グリム『おう、任せとくんだゾ!一口でペロリと平らげてやるぜ』
『私も食べたい』
グリム『ダメなんだゾ!最初にオレ様に声がかかったんだから、もしもの処理係はオレ様!』
『むぅ..ねぇ、ケイさん、トレイさん。だめ?』