第107章 *到着スカーレット(リドルの夢)*
まるでこの時を待っていたかのように自信たっぷりの笑みを浮かべ懐に手を突っ込むと、取り出したその手にはトレイの眼鏡が握られていた
トレイ『これは...なんだ!?』
ユウ『そりゃ、見えてない人に見せても分かるわけないでしょ』
エース『眼鏡だよ、めーがーね。トレイ先輩の』
トレイ『あっ、本当だ!どうしてエースが!?』
エース『夢渡ってる途中に"今なんか吹っ飛んでった?"と思って振り返ったら..トレイ先輩の黒縁眼鏡が落ちてくのが見えて、慌てて魔法で引き寄せたんすよ』
ケイト『えーーっ!!エースちゃん、凄い!』
オルト『さすがはバスケットボール部!動体視力と反射神経がすごくいいんだね!』
シルバー『エースが夢を渡るのはまだ2回目だろう?よく反応できたな。夢渡りの最中は、自分が振り落とされないようにするだけで必死な者が多いのに...』
エース『でも咄嗟に引き寄せたんで..眼鏡、傷イってないっすか?』
トレイ『うん。フレームにもレンズにも、どこにも傷は入ってない。本当に助かったよ。ありがとう、エース!』
エース『いーえ、これくらいお安い御用。あっ、でも次のなんでもない日のパーティーは、チェリーパイが出たら嬉しいなー、なんて!』
ちゃっかりと好物を予約してくる悪知恵の良さにトレイは苦笑いを浮かべるしかなかった。きっと彼のことだから確実に次のパーティーではチェリーパイが出るだろう。期待に胸を膨らませながら、エースはレイラの元に寄っていき目線に合わせて腰を屈めた
『ん?』
エース『褒めて♪』
『!んふふ、可愛い。いいよ。
エース。えらいね、すごいね。いい子いい子』
突拍子もない甘えにクスクス笑いながら、ハネ気味の髪を優しく撫でてやると、嬉しそうに顔をほころばせ心地の良い感触に目を細めた