第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
『『『ん??』』』
一瞬の沈黙が襲う。欲しがる言葉に違和感を感じながら、トレイはその瞳にほんのりと熱を灯してもう一度問いかけた
トレイ『....どっちが欲しいんだ?こっち?』
自然と声に色が乗り、まるで別の何かを誘うような声音に2人の周りにお菓子とは違う甘い空気が漂い始める
欲しいものとは違う小さい方を向けられ、レイラは空腹で頭が回らない中、思わず彼の腕を縋るように掴むと、欲しい方のマフィンを見つめながら、熱い眼差しでねだる
『違う。それ、トレイさんの(そっちの手に持ってる)そのおっきぃのが欲しいの..』
『『『んんんん!!??』』』
更に誤解を招きそうな言葉に周りから疑問と戸惑いの声が上がる。そんな中、誘惑ともとれる視線と言葉に胸の奥をかき乱すような感覚に襲われ、興奮の寒気に背を震わせながら、トレイは選ばれたマフィンのカップを千切ると、待ちわびるその口元に近づけていく
トレイ『これだな。ほら、食べさせてやるから口開けろ』
『ん?一人で食べれるよ』
トレイ『俺が食べさせてやりたいんだ。な、いいだろ?ほら、あーん』
ぐぅぅぅぅ....
少し強引なトレイに困惑するも、何度目かの腹の虫の唸り声に我慢できず、彼の差し出すままにその手をとりマフィンに齧り付いた
『ぁぅぅ..あ、あむ..ん、んぅ..』
ケイト『な、なんかあの2人の会話さ..ちょっとアレだよね?』
エース『オレもおんなじこと考えてる』
ユウ『あ、あ、あんにゃろ〜〜!!!』
イデア『ちょ、ちょちょちょっと!拙者たちだけじゃなく、大勢のS.T.Y.Xの職員たちも見てるんだから、いきなり目の前で勘違いしそうなエロゲーシチュはやめてくださらんか!?生々しくて聞いてられない!だ、誰か、教育に悪いからオルトの耳を塞いで!!』
オルト『塞いだところで、兄さんのタブレットから拾った音も聞こえてるから無駄だと思うけど..』