第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
ポンポンと頭を軽く叩かれ若干納得いかず頬を膨らますが、2人がそれ以上争う気配を見せなかったため、ホッと息を吐いてもっと撫でるようにねだる
エース『甘えん坊♪(やば、めちゃくちゃ可愛い..)』
セベク『むっ..』
トレイ『まったく..うちの1年が悪いな、シルバー』
シルバー『いや、こちらこそ。うちのセベクが失礼なことを言ってしまい申し訳ない』
イデア『え?何?幼稚園児の親同士の会話!?』
クゥゥゥ...
『んむぅ...』
エース『レイラ、どした?あっ、ちょ..どこ行くんだよ?』
不満そうに軽く唸るレイラに顔を覗き込むと、無言で身じろいだと思ったら撫でている手から抜け出し、トレイの元へと駆け寄っていく
『トレイさん』
トレイ『おっ、どうした?』
『おなかがすごく空いちゃって...ちょっとだけ、お菓子食べていい?』
トレイ『別に構わないが..さっきの戦いやらなんやらでここもだいぶボロボロになったからな。殆どが砂まみれだな』
戦いの激しさを物語るように散乱した器具や倒壊したお菓子タワーの惨状に眉を下げながら見回すと、ある一角のお菓子置き場に目を向けた
トレイ『おっ、ここらへんのお菓子はみんな崩れていないし砂もかぶってない。そこの柱が上手いこと守ってたみたいだ。
レイラ、どれが食べたいんだ?クッキーにカップマフィン、タルトがあるぞ』
『んと..マフィン食べたい』
どれも食欲を唆りそうなお菓子に耳を期待に揺らしていると、マフィンの乗った皿が運ばれてくる。ふんわりとした生地にブロック型のチョコチップと、美味しそうな見た目にコクリと喉が鳴る
『ぁぅ、すごく美味しそう』
トレイ『悪いレイラ。マフィンだけは余ってるのが2つしかなかったんだが、どっちが食べたい?それとも両方か?』
両手にそれぞれ収まる大きなカップマフィンに瞳が輝く。交互に見つめたあとに、空腹に嘆く腹を押さえながら潤んだ瞳で見上げる
『それ..そっちのおっきぃのちょうだい?』