第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
期待に光る2人の目に若干引きながら、ユウは少し考えたあとにそっと首を横に振った
ユウ『悪いけど、僕らは見てないんだよね。正確には、レイラの夢には行ってないんだ』
『『え?』』
エース『それ、どういうこと?』
デュース『夢には行ってないなら、どうやって覚醒させたんだ?』
ユウ『それは..』
シルバー『それについては俺も不思議に思っていた。ユウとグリムを救出する際に慌てて夢渡りをして、偶然セベクの夢に飛び込んだ。そこでセベクを覚醒させている中で夢の管理者であるマレウス様と対峙したんだが、その隣にいたのが本物のレイラだったんだ』
エース『セベクの夢にレイラが?ますます分かんないんだけど。ねぇ、レイラはなんか知ってんじゃないの?』
その問いにデュースやユウたちの視線が一気に注がれる。少し気まずそうに身を縮こませながらおずおずと口を開いた
『えっと..ね。最初は自分の夢にいたんだけど、ツノ太郎が何かに気づいて怖い顔しながら"お前は連れてく"って言って眠らされて..気づいたらセベクの夢にいたの。そしたらユウたちが来て、ここは夢だって言うの聞いてたら頭痛くなって目が醒めた』
シルバー『何かに気づいた、というのは恐らく俺たちがセベクの夢に入り込んだのを気づかれたのかもしれないな。まさか夢から夢に移動させられていたとは。だが、何故マレウス様はわざわざレイラを連れ出したのだろうか..』
デュース『たしかに。レイラを夢に置いていけば覚醒することはなかったのに..』
『..寂しかったのかな?』
ポツリとした独り言は誰の耳にも届くことなく、薔薇の香り漂うハーツラビュルの庭に吹く風に溶けて消えた
エース『まあ、ユウたちが見てないって理由はなんとなく分かったわ。で?レイラ、結局お前の夢ってどういうやつだったの?』
『.....内緒』
エース『えー!?教えてくんねーの?それとも、オレらに話せないくらいぶっ飛んでてヤバかった?』