第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
『ん。あんまり思い出したくないから言えない。ごめんね』
デュース『そんな悲しい顔されたら、これ以上聞かないほうがいいな』
あんまりにも切なく笑うため、全員それ以上に踏み込めなくなり、一番渋りそうなエースでさえもアッサリと諦めた
エース『わーったよ。でも、その夢のせいで嫌な記憶思い出したり苦しくなるんだったら、周りに吐き出した方がいいかもしれないし、そうなったら言えよ。いい?』
『ん。ありがと』
ユウ『にしても理由はわかんないけど、おかげでレイラを覚醒させることができたから、その点はツノ太郎の気まぐれには感謝だね』
レオナ『おい1年坊ども。ピーチクパーチク囀ってないで、夢の主をさっさと捜すぞ』
エース『はーい..って、いうか。この夢の主ってもうトレイ先輩で確定してるんでしょ?さっきから辺りに漂う、バターと甘〜い匂い。この時点で、もうトレイ先輩の場所は確定してるも同然じゃん』
『くんくん...良い匂い。ぁぅぅ、お腹空いてきた』
ケイト『あはは、可愛い。んじゃ、寮のキッチンを見に行ってみますか』
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ハーツラビュル・廊下
ケイトの先導で寮内に入りキッチンの手前まで来るとその甘い匂いはどんどん濃くなり、腹ペコモンスターのグリムの腹を優しく刺激する
グリム『キッチンから甘い匂いがプンプンしてるんだゾ。この匂いは..』
エース『チェリーパイに、ラズベリータルトに..』
デュース『アプリコットのジャムに、スコーン。それから野菜のキッシュ!』
『イチゴのカップケーキと、チョコレートケーキ...ぁぅぅぅ』
グリム『うーん、うまそう!じゅるっ!いざ..』
ケイト『はいはーい。みんな、ちょっとストップ!』
漂う甘い誘惑の香りに今にも飛んでいきそうなグリムたちの前に立ち手を広げて止めると、全員でキッチンに突撃するのはやめたほうがいいと提案した
ケイト『この中にはトレイくんだけじゃなくて、NPCのオレらが一緒にいる可能性がある。NPCと蜂合わせたらエースちゃんの夢みたいに偽物だー!!ってバトルになるかもしれないでしょ。
エースちゃんたちは魔法で分身してますって言い訳ができないわけだしさ』