第18章 *告発トゥルース*
マジフトの影響を知っているエースが思わず同情の声を漏らすと、ふざけるなと言わんばかりにグルルとジャックは牙を剥き出して唸り声をあげた
ジャック『将来よりも今だろ。今の自分の実力を見せつけなきゃ意味ねぇだろうが。俺が特に気に入らねぇのは寮長、レオナ・キングスカラーだ!』
『!!レオ、さん..?ねぇ、ジャック』
それまで一言も喋らずにいたレイラがジャックの服の裾を引っ張りながら、震えた声で問いかけた
『レオさんも、なの..?あの人も..事件に関わってるの?』
ジャック『....』
『そうなの..?ねぇ..答えてよ、ジャック』
声の震えが体の震えと共に服越しに伝わり、ジャックは思わず口をつぐんだ。自身を見上げるレイラの表情が余りにも悲痛で、事実を受け入れたくないという想いがひしひしと感じたからだ。
ジャックはここに来て初めて真実を告げるのが恐ろしくなった。目の前の小さな彼女がこの事で壊れてしまうのではないかと。だがそれでも彼女のためにと、ジャックは意を決して頷いた
ジャック『..あぁ、そうだ。今回の事件はそもそも寮長を筆頭に仕組んだ事だ』
『っ..嘘..嘘だよね..?だってあんなに優しいあの人が..そんな事』
深紅の瞳が困惑に揺れ動く。ジャックは耐え難い胸の痛みに苛まれた。連日サバナクロー寮に出入りしているレイラを何度も見ていて、レオナに気に入られレイラ自身も彼を慕っているのは遠目からでも分かっていた
ジャック『..本当だ。あの人が事件の指示を出していたところを昨日の夜俺は聞いた』
受け入れがたい真実に足を震わせ立っていられなくなったレイラの体から力が抜けその場に崩れ落ちそうになる。だがすぐに反応したジャックが腰に腕を回し支えた
ジャック『おいっ、レイラっ!』
『..レオさんは..っ、凄く優しいんだよ..?強くて、優しくて..』
ジャック『分かってる..あの人は強ぇ。魔法の扱いだって飛び抜けてる。3年前、レオナ先輩が大会で見せたプレイは本当に凄かった。だから、俺はこの学園に入れて...サバナクロー寮に入って、あの人と本気でマジフトの試合がやれるんだと思ってたのに』