第103章 *抗争ファクション(デュースの夢)*
シルバー『セベク、本当にお前ってやつは..すまない、根は悪いやつではないんだ』
デュース『あいつ、また先輩の顔に泥塗りやがって。
でももしかすると、ヴァンルージュ先輩が心配するほどのことじゃないのかも..』
リリアの送別会の時にも不遜な態度で苛ついた事を思い出し一瞬顔をしかめるが、あの時には分からなかった彼の言動の裏に隠れた優しさや真面目さ、素直になりきれないところが今になってほんの少しだけ分かった気がして、そこまで正確の悪いやつではないのかもしれないと、デュースは静かに呟いた
セベク『ん?リリア様がなんだ?』
デュース『いや、なんでもない。1日も早く図書館に本を借りに行くためにも、早く夢から醒めないとな』
『セベク』
くいくいと裾を引っ張られ隣を見ると、深紅の瞳が期待に揺れながらこちらを見上げていた
セベク『なんだ?』
『私にも本、選んでくれる?』
セベク『お前もか。ふん、仕方がないな。あいつらとまとめてお前の分も見繕ってやる。感謝しろ』
『んふふ、ありがと』
ユウ『レイラは本読むの好きだもんね。寮でも暇さえあれば静かに読んでるの結構見るし』
セベク『ほう..いい心がけだ。それで、お前はどんな本を好むんだ?選ぶときの参考までに聞いてやる』
『んとね、私もあんまり難しいのは読めなくて..デュースの本みたいに易しいのが好きかな。あ、あとね、お話は冒険するのが好き』
セベク『はっ、幼稚な子供向けということだな。お前らしいチョイスではないか』
小馬鹿にしているにも関わらず、レイラはさして気にすることもなくセベクの手を取りふわりと微笑む
『ん。だから、セベクがどんな本を選んでくれるか楽しみにしてるね』
セベク『っ//ふ、ふん!せいぜい期待して待っているんだな』
シルバー『そういえば、レイラにはデュースのように思い出の本などあったりするのか?』
『...あるよ。デュースみたいにちっちゃい時の思い出じゃなくて、ちょっと前におばあちゃんからもらった』
ユウ『その話は聞いたことないなぁ。どんなやつなの?』
『"黒いウサギの幸せ探しの旅"』