第16章 *百獣コンフリクト*
レオナの言葉にジャックの瞳が揺れ動く。卑怯なことは見過ごせない。だからと言って自分の寮の先輩達の未来の事を考えると決心が揺らぎそうになる
ジャック『そ、それは...』
ジャック『頭を使って獲物を追い込むのは"狩り"の基本だ。卑怯でもなんでもねぇ』
ラギー『シシシッ!この学園は弱肉強食。イイコちゃんなだけじゃ生き残れねぇってことっすよ』
ジャック『寮長、あんたが本気を出せば十分ディアソムニア寮と戦えるはずだ!3年前のあんたのプレイ、今でも覚えてる。俺は...っ...それに、あんたがそんなことしてるって知ったら、レイラがなんて思うか...』
その瞬間、レオナの瞳が強い怒りの色に染まり珍しく声を荒げた
レオナ『新入りが知ったような口を利くんじゃねぇ!本気を出せ?馬鹿馬鹿しい。本気になったところで、何も変わらねぇよ。
...失せろ。明日の朝日が拝みたいならな』
レオナとジャックの無言のにらみ合いの末、ジャックはそっと部屋を後にした
ラギー『あいつ、危険っすね。オレ、やっちまいましょうか?』
レオナ『まあ、待て。どうせあいつがクロウリーたちにチクったところで証拠は何もない。それに、あいつの能力は潰すには惜しい。動向だけしっかり見張っておけ』
ラギー『ういっす』
そう言うと、ラギーもレオナの部屋を退出し、部屋に残ったレオナは一人青白く浮かび上がる月を窓から眺めた
レオナ『...ちっ、あの1年坊...兄貴みてぇな事言いやがって』
"それに、あんたがそんなことしてるって知ったら、レイラがなんて思うか..."
レオナ『分かってんだよ、んなことは...』
自身の腕を見つめ、あの日腕にレイラを抱きしめた感覚を思い出す。何度も泣きながらすがり付いてきた小さな体、その体を包み込み甘い唇を貪った時の快感、健気にも受け入れようと必死な姿、自身にかけてくれた言葉、全てが鮮明に脳裏を過った
レオナ『あぁそうだ。だから...俺は...』
レオナの言葉は静かな月夜に溶けて消えていった
ポタッと2滴、心を蝕んだ