第17章 *証言ポートレート*
その夜ユウの夢の中では、また動物達が登場していた。沢山のハイエナ達が行進し、それを眼下に見下ろす黒毛のライオンが高々と自身の王としての君臨を叫んだ。現在の王とその跡継ぎを殺すことによって。
ハイエナ達は喜び跳ね回り目の前の王を称える。だがユウは、目の前の喜びに賛同することはできなかった
ユウ『(まずみんなで話し合ってみれば良いのに...何故そんなに王になりたいんだろう...)』
朝になり、窓から差し込む光りと遠くに聞こえる鳥の声でユウは目を覚ました
ユウ『なんだかワイルドな夢だったような』
グリム『お、ユウ、起きたか。もう朝食の時間が始まってるんだゾ。早く行こう!』
ユウ『ん~~っ!そうだね、あれレイラは...まだ寝てるのか。ほら起きてレイラ、もう朝だよ』
ベッドの上で半身を起こし軽く体を伸ばすと、未だに気持ち良さそうに眠るレイラの肩を優しく揺すり起こす
『ん...まだ...眠い』
ユウ『ダメ。ちゃんと起きないと』
『ぁぅ...分かった..起きる』
シーツに顔を埋めて再び寝ようとするレイラの頬を軽く摘まんでムニムニと弄ると、少し不機嫌な声で渋々起き上がった
『ごはん?食べたい』
ユウ『その前に着替えと薬ね?』
メインストリート
メインストリートを歩いていると、レイラの片腕で抱っこされているグリムがふと尋ねた
グリム『そういやオマエ達、昨日の夜どこか出掛けてたのか?トイレに起きたら居なかったんだゾ』
ユウ『そういえば昨日の夜...』
ユウとレイラは昨日の夜、謎の角の生えた青年との話をグリムに伝えた
グリム『ほぇ~。頭に角が生えたヤツかぁ。名前は?』
ユウ『好きな名前で呼べって言ってた』
『あだ名つけよ』
グリム『うーん、じゃあ..."ツノ太郎"なんてどうだ?』
ユウ『いいね!』
『ツノ太郎...』
グリム『ツノ太郎もこの学園の生徒なら、その内ひょっこり会うかもな。そしたらオレ様にも紹介してくれよ。ツノが生えた人間なんて見たことねぇんだゾ!』
『(多分ツノ太郎、人間じゃないと思うけど...)』
テンションの上がったグリムが腕から飛び降りるのを見下ろしながら、レイラは心の中でそう思った