第16章 *百獣コンフリクト*
レオナ『ふん...失せろ』
唸るような低い声と共に手を離すと、サバナ寮生Aはゲホゲホと咳き込み、這いずりながら逃げるように談話室から去っていった
静寂が戻った談話室にレオナのため息が1つ、静かに溢れた
レオナ『(らしくもねぇ...何なんだ...)』
その夜、オンボロ寮にて
足元でグリムがマジフトの夢を見ているのか、楽しそうな寝言をたてる中
ユウ『筋肉痛で眠れない』
『痛い...?なでなでする?』
ユウ『してほしいけど、今されたら逆効果かも』
ごめんね?と頬を撫でるユウにレイラはなんとかしてやれないかと考える
『ユウ、お外に出よ?ちょっと空気にあたったら変わるかも』
ユウ『そうだね...行こうか。寒くないように上着を着ようね』
フワッと制服のブレザーを着させると、自分も上着を羽織り、グリムを起こさないようにこっそりと二人で部屋を抜け出しオンボロ寮の外へ出ていった
『空気、冷たいね...』
ユウ『うん、だいぶ寒くなってきた。上着を着て来て良かったね』
夜ということもあって最近冷え込んできた空気に軽い身震いをしながら、二人は夜の星を見上げる。チラッとレイラは隣のユウの横顔を見ると、どこか想い馳せるような表情で星を見つめていた
『ユウ...元の世界に帰りたい?』
ユウ『そう、だね...いつになったら、って考える事もある。あ、でもこれはレイラ達と一緒にいるのが嫌とかそういうのじゃなくて、』
『...分かってるよ...分かってる』
ユウ『ごめんね、変な気を使わせちゃって』
明らかに寂しそうな顔で見上げるその小さな体を抱きしめ頬を擦り寄せると、応えるように背中に手が回り愛おしげに頬へ擦り返した
『...あったかい』
ユウ『そうだね。レイラの良い匂いも合わさって幸せだ』
首元から香る薬の効果が切れたレイラの匂いを堪能していると、自然と高揚感と幸福感に包まれる
ユウ『レイラの匂いは人を元気にさせる力があるのかもね...(色々と)』
『そうなの...?だったら、嬉しい...』
互いの温もりに満たされていると、ふと横からカサリと草が音をたて、振り向くとそこには一人の青年が立っていた