第16章 *百獣コンフリクト*
レオナ『おら、どうしたぁ?もう終わりか?』
ラギー『シシシッ!さっきの威勢の良さはどうしたんすか?』
レオナ『ほら立てよ草食動物ども。もうワンゲームといこうぜ』
『レオさん...もうやめて』
ユウ『こんなの暴力同じだ』
ジャック『なにしてんすか、あんたら』
試合中の騒ぎが聞こえたのか、いつの間にかレイラ達の横にジャックが立っていた。怪訝そうに顔を歪ませ真っ直ぐレオナ達を睨んでいる
レオナ『ん?縄張りに踏み込んだ奴らとちょっと遊んでやってるだけだろ』
ジャック『初心者いたぶって何が楽しいんすか』
ラギー『なーにぃ?ジャックくん。正義のヒーローみたいでカッコいいっすねぇ。シシシッ!』
ジャック『俺はただ、みっともなくて見てられねぇって言ってるだけっす』
レオナ『...はっ、しらけること言うぜ』
ジャックの言葉に、周りの寮生から"1年のくせに生意気"だという抗議の声が上がる。だがそれでもジャックは臆することなく、上級生のやることではないと言い返す
レオナ『は、1年坊。威勢が良くて結構なことだ。まあいい、もう飽きた。お前らを相手にしたって何の意味もない』
行くぞラギー、と声をかけるレオナと、それに付き従うように後を追うラギーと他の寮生達は静かにその場を後にした
すれ違い様、レオナはレイラの頭を軽く撫で、ついでに長い尻尾で誘うように一瞬手に滑らせていった
『レオ、さん...?』
ユウ『みんな、大丈夫?』
ボロボロ状態でその場に立ち尽くすエース達に駆け寄ると、エース達はレオナがいなくなったことでようやく安堵の息をつくことができた
ケイト『あはは、カッコ悪いとこ見られちゃったねー』
デュース『ジャック、だったな。助かった』
『ジャック、ありがと』
ジャック『別に、お前らを助けた訳じゃねえ』
照れ隠しなのか、頭をかきながらフイッと視線を反らされてしまった
エース『はあ、めっちゃ泥だらけ。今日のところは寮に戻ろうぜ』
『エース大丈夫?痛いとこ、ある?』
エース『ん?大丈夫。心配させてごめんな、って今撫でたら髪汚れるな』
『いーよ?エース、撫でて』
エース『あんま可愛いこと言うなよ』