第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
ラギー『そんなに現実のオレがいいっすか?』
『ん』
ラギー『....じゃあ、レイラちゃんは、今でも実家に帰れば食い物に飢えて、着るものも誰かのお古とか使い古したものばっかりで、金にがめつくて、強い誰かの威を借りて笑ってる汚らしいハイエナのオレが好きなんすね?』
『......』
その問いに辺りの温度が一気に下がり、二人の間に沈黙と重い空気が漂う。こちらを見つめたまま口を開かない様子に、ラギーは苦笑いを浮かべ頭をぽんと撫でた
ラギー『..ごめん。すげぇ意地の悪い質問だったっすね』
『........そうだよ』
ラギー『え?』
『私は、大切な人たちのためにご飯をいっぱい取ってきて分けたり、お金のことにいつも一生懸命で、レオさんの隣で悪い顔して笑ってるラギさんが好き。
ナイトレイブンカレッジの、優しくてカッコよくて、綺麗であったかいラギさんが大好きなの』
ラギー『レイラ、ちゃん..』
『ん?』
ラギー『はぁ...ったく、普通なら捻くれてるとか性格悪いとか思うところでしょーよ。なのに、君って子は...
でも、思えば出会った時から、君がオレを悪く言うことなんてなかった。マジフト大会の時だって、罠にかけられたってのに、結局ほっぺた伸ばしてお小言少しで許しちゃうほど、お人好しっすもんね』
ほんと呆れちゃう、そう言って撫でる手つきは驚くほど優しく、ブルーグレーに映り込む深紅の瞳は少しの戸惑いで揺れていた
ラギー『いつも呑気な上に一度認めると警戒心の欠片もなくなる。天然かと思ったら、たまに鋭いこと言ったりして、オレも含め周りはいーっつも振り回されてた。そういうところ、実はちょっとだけイラッとしたこともあったんすよね..
でも、そんな君だから..オレはこんなにも好きになっちゃったんすよ』
『ラギ、さん....うきゅぅ』
チリっとした熱が一瞬ラギーの瞳に走る。しかし、それがなにか知る前に深く抱き込まれ、彼の匂いがふわりと香る。懐かしい大好きな匂いに包まれ、レイラはじわじわと熱いものが込み上げてきた
ラギー『"本当のオレ"を選んでくれてありがとう。起こしに来てくれて、迎えに来てくれてありがとう』