第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
ラギー『......これ、全部夢...なんすか?』
オルト『うん。正確にはマレウス・ドラコニアさんが作り出した魔法領域の中だよ』
その言葉にラギーはガクッと膝から崩れ落ち、衝撃でかけていた眼鏡はカシャンと無情な音を立て落ちる。今までの幸せな時間が現実ではなく、なんの意味もないただの夢だという残酷な真実を突きつけられ、瞳孔は忙しなく揺らぎ、口元はわなわなと震えだした
ラギー『............っ、そ、そんな...あ、あああ..
うわああああああぁああ〜〜〜!!!』
グリム『うわっ!?急にラギーが地面に四つん這いになって泣き始めたんだゾ!』
ラギー『夢!?今まで食ってきた飯も全部幻?あんなに山程トッピング載せて食べたドーナツも、得られたカロリーは0キロカロリーってこと?さっき拾った600マドルも?親父が帰ってきたのも、ばあちゃんに新車買ってやれたのも、あれもこれも全部幻..っ?』
『ラギさん...』
ラギー『ぬか喜びにも程があるでしょ!マレウスさん、人の心ないんすか!?』
イデア『まあ、妖精なんで..』
ユウ『相手は妖精だし.."人"の心はないでしょうね』
ラギー『それが妖精のやり方かよぉぉぉぉ!!』
ジャック『ラ、ラギー先輩のあんな泣き顔、初めて見たぜ..』
セベク『魔法領域を展開し、全員に夢を見せる..ふっ、確かに茨の谷の次期当主たる若様だからできる"妖精のやり方"だな!!
ひれ伏すがいい!人間!!』
シルバー『セベク、それは今褒められていないし、お前が威張るところではない』
ユウ『今ドヤるとこじゃないでしょ。まったく..空気くらい読みなよね』