第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
ジャック『どういうことっすか?』
ラギー『いやぁ..恥ずかしいんすけど、ちょっと荒れてた時期があって。親父が出稼ぎから戻って来るまでは、ろくに食い物も手に入らなかったから..オレも毎日腹を減らしてた。ずーっと食い物のことばっか考えてて..しんどかったなぁ。だから、腹減らしてるやつは見過ごせないんすよね』
『ラギさん....』
空腹に苦しめられながら過ごした日々を思い出し、目の前で盛大に腹の虫を鳴らしたセベクにかつての自分を重ね、自分と同じひもじい思いはさせたくないという彼の優しさに、夢に浸っているとはいえ、レイラは心を揺さぶられずにはいられなかった
ラギー『あ、そうだ!フルーツ以外にもうまいもんがあるんすよ』
グリム『ふなっ!なんだそれ?食いたい食いたい!』
ラギー『ほら見て、校舎の入り口のとこの屋台。あそこで配ってるのは、揚げたてのドーナツっす!』
『『ドーナツ!?』』
指のさす先には、可愛らしい柄の移動販売車が1台停まっていて、ラギーに誘われるまま近づいていくと、フルーツの香りに混じって洋菓子特有の香ばしい香りやクリームなどの甘い香りが漂ってきた
ラギー『頭を使うには甘いものってね!トッピングもし放題っすよ。オレのおすすめは..プレーンのドーナツに、チョコソース、次にスライスしたナッツをかける。さらにカスタードクリームと生クリーム、最後にベリーの甘酸っぱいジャムをかけて..っと
完成!ラギースペシャルっす!』
ドーナツを皿に乗せ次々と好みのトッピングをかけていくと、皿の上には段々と豪華に盛り付けられたドーナツが完成していく。色とりどりに装飾されたそれは腹ペコのグリムの食欲を更に刺激し、宝石のように輝く欲望盛り全開の一品によだれをジュルリと垂らした
グリム『はあぁ〜!こんな豪華なドーナツ見たことねぇんだゾ!』
『わわ、美味しそう..』
ラギー『さあさあ遠慮なく食べて。盛大に腹の虫が騒いでた君も、ほら』
セベク『むっ..で、では、いただこう。はぐっ!もぐもぐ..うむ、うむぁい!』
ラギー『ひえぇ、オレの拳よりでかいドーナツを一口で..いい食っぷりっすねぇ。しししっ!』