第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
ラギー『いいの、いいの。近所の子供たちも飯だけ食べに来たりもするし。アイボリークリフ・アカデミーのモットーは、連帯の精神なんすよ。君たちもグレート・セブンの百獣の王に仕えた3頭のハイエナの話は知ってるでしょ?彼らは、王様の仲間になるまでは腹を空かせて泣くことが多かったんですって。
だからこの学校では、腹を減らしてるやつがいたら、ハイエナの連帯の精神で飯を分け与える。それがこの学校の生徒じゃなくてもね』
ジャック『そんな..あんたが俺たちに食い物を無償で分け与えるなんて!?』
ラギー『ん?オレたち、どっかで会ったことある?』
ジャック『いや、そういうわけじゃ..』
アズール『ああ、申し訳ありません。僕たち自己紹介がまだでしたね。僕はアズール・アーシェングロットと申します。こちらは使い魔のグリム。そして魔獣トレーナーのユウさんとレイラさんです』
ユウ『よろしくお願いしまーす』
『よろしく、ラ..ハイエナさん』
ラギー『ーーーっ!!』
ユウの背中からひょこっと顔だけ出したその顔を目にした途端、ラギーは目を見開きブワッと頭のてっぺんから尻尾の先まで毛が逆立ち、えも言われぬ興奮が駆け上がった。心臓が甘く高鳴り、まるで一目惚れか、ずっと前から好きだった人にようやく再会できたような不思議な感覚だった
『どしたの?』
ラギー『あ..い、いや、君のこと、どっかで見たことがある気がして....ごめん、やっぱオレの勘違いだったみたいっす』
『....』
アズール『では気を取り直して..こちらは僕の同級生のシルバーさん。そして後輩のオルトさん、セベクさん、ジャックさんです。僕たちは黎明の国にあるナイトレイブンカレッジという魔法士養成学校の生徒でして..交留学生としてこの学校に来たんです』
ラギー『オレはラギー・ブッチ。ラギーでいいっすよ。それにしても、黎明の国かあ..随分遠くから来たんすね。オレ、外国に行ったことないから本当に君たちとは会ったことはなさそうっす。
まあ、もし本当に昔のオレを知ってるやつだったら、今のオレを見てもオレって分かんないかも』