第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
その声や顔立ちは間違いなく全員の知るラギーで、彼の頭上には夢の主である証拠の光る小鳥が飛んでいたが、目の前を走っていく青年は利口そうな眼鏡をかけ、ナイトレイブンカレッジの黒ではなく、小洒落たアイボリーの制服を纏っていた
アズール『ラギーさんって、眼鏡をかけていましたっけ?普段と少し様子が違ったような..』
『ラギさん、目は良いよって言って気がする』
ジャック『ああ。それに、目を保護するためのゴーグル以外かけてるのなんか見たことねぇ..人違いじゃないか?』
シルバー『いや。夢の主の証拠である光る鳥が見えた。あれはラギーで間違いない』
オルト『とにかく、追いかけよう!』
猛スピードで去っていったラギーを追いかけていくと、住宅街を抜けカラフルなテントが所狭しと並ぶマーケットの通りへと曲がっていった
見失わないように後を追っていると、マーケットの飲み物屋の店主が通り過ぎようとしたラギーを呼び止める
急いだ様子のラギーを見て"飲んでいきな"と店のジュースを1杯無料で渡していると、周りのマーケットの店主たちもラギーの存在に気づき、次々と自分たちの商品を渡し始めた。代金を出そうとするラギーだったが、出世払いでいいと気前のいい店主たちに断られ、申し訳無さそうにそれでいて嬉しそうにはにかんだ
?『ラギー、こっちも昼飯に持ってきな』
ラギー『あはは!そんなにもらっても食べきれないっすよ』
?『なら、ばあちゃんと父ちゃんへの土産にすればいいさ!』
ラギー『んじゃ、遠慮なく。2人とも、これ大好きなんだ』
?『出稼ぎに行ってた親父さん、一山当てて帰ってきてくれて本当に良かったなぁ、ラギー。ばあちゃんも楽になって、お前もこんな立派に..うっ!年取ると涙もろくていけねぇや』
ラギー『やだなあ、おやっさん。大げさっすよ』
?『大げさなもんか。お前には、みーんな期待してんだ』
?『そうそう。たくさん食べて、勉強しっかり頑張るんだよ!』
ラギー『はーい!行ってきまーす!』
優しい店主たちに背中を押され、笑顔で手を大きく振りながらラギーは人混みの中へと再び走り出した