第101章 *奮起シーフ(ラギーの夢)*
オルト『霊素シグナル、トラッキング成功。指定された座標へ到着しました』
ジャック『..っ、もう、ついたのか?』
シルバー『ああ。気分はどうだ?』
ジャック『飛行術とも、ローラーコースターとも違う不思議な感覚だった。でも、気分は悪くないぜ』
シルバー『アズールは?』
アズール『酔い止めを飲んでいたので、なんとか無事です。しかし..夢渡りよりも、この場所の暑さの方で体が参ってしまいそうだ。ここは一体?』
少し肌寒さを感じるような秋めいていた学園から、ムワッとした熱気と乾燥が体を覆い、じっとりと汗が滲み始める
周辺の景色の画像検索や、周囲の気温・湿度を元にしてオルトが解析をした結果、この場所は夕焼けの草原という国の王都・暁光の都であることがわかった
現代的なビルや建物が建ち並びながらも、周りには緑豊かな公園や広場がいくつもあり、目の前の広場にも深緑の木々が揺れ、中央の噴水にはモニュメントがいくつも置かれていた
シルバー『賢者の島の外では、寮服だと目立つ。制服に着替えた方が良さそうだ』
ジャック『えっ?俺、制服なんか持ってきてねぇぞ』
グリム『ぐひひ..ついにお前もオレ様たちの仲間入りをする時が来たんだゾ』
ジャック『は?グリム、何ニヤニヤしてやがる。セベクにオルト..ユウとレイラまで!』
制服を持っていない、という着替え魔法ができないことを自白したような発言に、1年組は自分たちと同じく"例の呪文"をあのジャックが言わなければならないことに、期待と辱められる仲間が増えたことに悪い笑みが抑えきれない
何も知らないジャックが困惑する中、同じくニヤニヤとしながらイデアは画面の奥で術式付与の準備にタイピングを走らせる。一方でアズールは珍しく嗤うことなく、これから恥ずかしい目に遭うジャックを静かに憐れんでいた