第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
バシュゥゥゥゥゥ...!!
バチバチバチ..
聞こえるはずの衝撃音は物凄い噴出音と弾ける雷撃に代わり、ガシャンと地面に降り立ったオルトは、黒い犬のような装甲に身を包み、その腕に気絶したジャックをしっかり抱えていた
オルト『はぁ、はぁ..!!危なかった〜!』
イデア『オ、オルト、無事!?』
他の面々も駆け出す中、我先へと辿り着いたイデアは弟の装甲を念入りに調べ始める。しかし、本人は大したダメージはないようで、ジャックをその場で静かに横に寝かせると、若干焼け焦げてしまった自身の関節をそっと撫でた
オルト『ギアは外装に軽微な損傷。ジャック・ハウルさんのバイタルは異常なし。着陸は成功だ。リモート操作でギアチェンジからの魔導スラスター最大出力での減速処理..さすがは兄さん!』
イデア『ひぃ..きっ、肝が冷えましたぞ。まさかジャック氏が上空でブラックアウトしてしまうとは』
オルト『正気を取り戻した瞬間に、酸欠で気を失ってしまったみたい....っとと!』
突然勢いよく何かに抱きつかれバランスを崩しそうになり、咄嗟にスラスターを噴射し後ろに倒れるのを防ぐ
オルト『レイラさん?』
『..った。ほんとに、良かった。ケガしてるけど、無事に戻ってきてくれて嬉しい。すごく心配した.....でもありがと、ロボットくん』
オルト『.....』
今にも泣きそうな声で縋り付き、自分の無事を心から喜ぶ小さな体に、今まで感じたことのない感情(バグ)が湧き上がる
未知の感覚に一瞬処理が追いつかなくなりそうになりながらも、なんとか意識を正常にしてレイラの頭を抱え込むように抱きしめた
オルト『うん..心配かけてごめんね。でも大丈夫。そこまで損傷は酷くないし、ジャックさんにいたってはダメージは全くないよ。
だから、泣かないで』
『ぅぅぅ..』
優しい声にジワリと視界が潤みそうになり、グッと唇を噛んで我慢した
レオナ?『ジャック!無事か!?』
ラギー?『大丈夫っすか、ジャック君!』
遅れて駆けつけた闇レオナたちが軽く揺すると、小さなうめき声を上げながら、ジャックは目を覚まし上半身を起こした