第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
『!!セベク!』
シルバー『大丈夫か!?』
心配した面々が慌てて駆け寄り様子を見るが、特に大きな怪我はしておらず、僅かな擦り傷をこさえムクッと体を起こした
セベク『なんのこれしきっ!
くっ..!ディスクを奪うつもりが、フィールドの外に出してしまった、不覚っ!』
?『アウト・オブ・バウンズ!サバナクローディスク!』
ラギー?『チャンスディスクってやつっすね。もうけ〜♪』
『ぁぅ..怪我してる』
セベク『これくらい何ともない。気にするな』
レオナ?『ふっ、技術も何もあったもんじゃないバックスだな。ま、あの局面でスピードを緩めない度胸は大したもんだ。ほら、立てよ一年坊主』
あのレオナ(偽物である)が敵チームに手を伸ばし助けるなど想像もしていなかったため、一瞬硬直しながらも恐る恐るその手を取ると、力強く引き上げられた
ポカンとするセベクの後方で見ていたアズールたちも、目の前のありえない光景に口をあんぐりと開けていた
一方オルトは、密かにジャックのバイタルを観察し、その数値を見てそろそろ頃合いだと小さく頷いた
オルト『作戦の実行フェーズへ移行しよう』
グリム『なぁオルト。オメーはずっと何を待ってたんだ?』
オルト『人は興奮状態になると、ホルモンによって理性や判断を司る脳の機能が抑制される。すると感情的な反応が優先されて、冷静な判断が難しくなると言われているよ。
だから、今ならきっとジャックさんも..ふふっ』
『なにするの?』
オルト『内緒だよ。大丈夫、必ず成功させてみせるから』
『ん』
心配そうに見つめるレイラを安心させるように、手がそっと包み込まれ甲を優しく撫でられる。背丈は殆ど変わらないのに、大丈夫だと言い切るその姿はとても大きく頼もしく思え、試合再開のホイッスルを受け去っていく背中を静かに見送った