第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
『アズさん!』
慌てて駆けつけると、荒い息を吐きながらメガネを外して袖で汗を拭っているところに、すぐにタオルを召喚して優しく彼の顔に押し当て、背中をそっと擦った
『大丈夫?汗すごいよ。これで拭いて』
アズール『はぁ、はぁ..すみません。ありがとうございます....ん、この匂いは』
『少しでも良くなってほしくて..だめだった?』
アズール『いえ、とてもありがたいです..はぁ、はぁ、暫く、はぁ、そのまま側にいてください』
『ん』
オルト『アズールさん、膝が震えてるよ。冷却スプレーかけようか?』
アズール『み、皆さんどうぞお気遣いなくっ!はぁっ、はぁ..!』
イデア『やれやれ..アズール氏。君の実力はこんなもんじゃないはずでしょ?』
アズール『え..?』
イデア『ゴールデン・トライデントの守護神、アズール・アーシェングロット氏のクラーケン・ショット..今出さないで、いつやるの!?』
ユウ『ぶふっ!』
『んっ、ふふふ..』
アズール『無茶を言わないでください!!!正気を取り戻した今、スポーツ万能な自分を思い描けるわけがないでしょう。しかもここは陸なんですよ』
セベク『ふむ。フロイド先輩たちが変身薬がなければ陸用の姿には変身できない、という強い固定観念を持っていたように..貴様もまた運動が苦手という固定観念に縛られているということか。難儀なものだ。ほら、まずは水を飲め』
アズール『あ、ありがとうございます..』
受け取ったペットボトルをグイッとあおると、冷たい水が熱くなった体によく染み渡る。レイラの黒兎の匂いも相まって、アズールは段々と落ち着きを取り戻していった
イデア『マレウス氏の魔法領域の中は信じれば夢が叶う、まさに魔法の国。だからこそ、逆に夢を信じられない子供は空も飛べないし、ヒーローにもなれないってことね。残酷っすな..』