第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
今にも駆け出していきそうなユウを二人がかりで何とか取り押さえると、オルトはイデアの言葉を弁解するため優しい口調で語りかけた
オルト『兄さんの言う通り、この作戦はジャックさんが僕に集中してもらうことが大事。その中で唯一の女の子であるレイラさんが試合に出ると、他の寮生や闇であるレオナさんやラギーさんはともかく、ジャックさんは怪我をさせないよう、無意識に力や熱中する意識をセーブしてしまう可能性がある。
だから、多少乱暴に試合しても大丈夫な僕たちだけでやるんだ。決して、君が足手まといだからという理由じゃないよ』
『むぅ..』
オルト『それに、君に何かあったら大変だからね。自分じゃ気づいてないかもしれないけど、これまで覚醒した後に君と交流した人たちはみんな、精神面の数値がかなり安定する傾向にあるんだ。それはロストするのを防ぐ上でとても大事な事で、これからの旅でもかなり重要になる』
機械の手がゆっくり伸びると、落ち込むレイラの頭を優しく撫でていく。生身と違い無機質で固めな感触は不思議と嫌な感じはせず、温もりはないはずなのに、撫でられる箇所はほんのりと熱を持っていた
ゆるゆると顔を上げると、オルトは兄に似たイエローアンバーの瞳を柔らかく細める
オルト『だから、今は安全なところで待ってて欲しいんだ。その代わり、絶対にジャックさんを目醒めさせてみせるよ』
『....分かった。ごめん、めんどくさいこと言った』
オルト『気にしないで。うーん..それにしてもレイラさんは自己肯定感がかなり低いみたいだね。君は決して弱くないし、魔力の数値だってナイトレイブンカレッジの中でも上位で頭も良い。もう少し自信を持ってもいいと思うけど..』
『....』
その言葉に小さく首を横に振るとオルトから離れ、拘束されているユウの元へと小走りで駆け寄った