第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
先程の話と時期を合わせ、現在ジャックは寮対抗マジフト大会直前の夢を見ている事が分かった。打倒マレウスへ向けて毎日厳しい練習を重ね、至極真っ当に正面から戦いに挑もうとしていた。が、現実のサバナクローはその時に例の事件を起こしていた
各寮の有力選手をバレないように次々と怪我を負わせ、本命のマレウスへは無理矢理強化したラギーのユニーク魔法で観客を操り、集団となって押しつぶそうとした
当時を出来事を思い出し、シルバーは悲しそうに暗い面持ちで俯き、セベクは内に募る怒りを露わにしていた
シルバー『あの事件..サバナクローの企みを内部告発したのはジャックだったと聞いている』
グリム『あいつに情報を吐かせるのは苦労したんだゾ。男のなんとかとか、ケジメとか、めんどくせーことばっか言ってよぉ』
ユウ『最終的には殴り合いで決着がついて吐かせたんだけどね』
アズール『ジャックさんの葛藤は理解できます。いくら転寮制度があるとはいえ、味方を売ったとなれば報復は免れない』
オルト『そうだね..サバナクロー寮が起こした傷害事件が、ジャックさんに大きな心理的負担をもたらしたのは間違いなさそうだ』
『.....ジャック、楽しそう。あんな顔、見たことない』
尊敬するレオナやラギーたちに囲まれ、現実とは違い全員が真っ直ぐな思いを胸に、来たる大会に向けて共にマジフトできることに、いつもは見せない弾けるような満面の笑顔が溢れる
そんな彼の姿を愛おしく思いながらも、それがマレウスが与えた夢という偽の世界から生まれたものだということに、寂しさと切なさが胸を締め付けた
グリム『あいつ、ナイトレイブンカレッジに入学するずーっと前から、レオナに憧れてたみてぇだしな』
ユウ『寮長と本気でマジフトがやりたかったって言ってたしね。その時は、オーバーブロットしかけたのもあって、本人にこっぴどく拒否られてたけど』
シルバー『自分の所属する寮の寮長に..憧れていた相手に、刃を向ける。入学したばかりのジャックにとって、どれほど覚悟がいっただろう。彼の正義感と勇気は、称賛に値するな』