第100章 *飛翔インプレッション(ジャックの夢)*
何度か体を揺すり声をかけたところで、ようやく気を取り戻したアズールは、初めての夢渡りの感覚を思い出し少し顔色を悪くしていた
アズール『..次回は、事前に酔い止めを服用します』
『アズさん大丈夫?』
アズール『え、ええ。ご心配をおかけしました』
シルバー『夢を渡っている間も、ずっと静かだったから平気なものだとばかり..まさか気を失っていたとは思わなかった。気づけずにすまない』
アズール『いえ、むしろ早めに気を失っておいて良かったというか..次は夢を渡る前から意識を失っておきたいというか..』
オルト『なるほど、いいアイデアだね!夢渡り中、気を失っていれば体質に関係なくダメージが少なくなる。すごく合理的!
今度試してもいい?』
カーン!カーン!
意地悪げに目元を歪ませながら、何故か手刀の素振りを始めるオルトに全力拒否していると、学園のチャイムが鳴り響いた
校舎の時計を見てみると午後の授業が終わる時刻で、校舎の奥からは生徒たちの声が小さく聞こえ始める
状況に合わせるためにひとまず制服に着替えようということになり、着替え魔法を習得しているアズールは自力で着替え、実は同じく着替え魔法を使えるらしいシルバーも制服へと変わった
シルバー曰く、意識が集中している時には使えるらしいが、切羽詰まった状況では今までと同じくイデアの力を借りるしかないという事だった
アズール『イデアさんの呪文?』
オルト『ふふふ。今見せてあげる。さあ、セベクさん。いくよ!』
セベク『くっ..!仕方ない!』
『『ドリームフォーム・チェンジ!』』
恥ずかしそうなセベクとノリノリのオルトが高らかに告げた呪文によって、2人の姿が制服に包まれる。想像もしていなかったヘンテコ呪文に仰け反ったアズールは、衝撃でズレた眼鏡を震える指でかけ直した
アズール『な、なんですかその珍妙な呪文は!?』
イデア『珍妙〜?こ、これだからオタクのロマンを解さんパンピーは..変身シーンに激アツな決め台詞があるかないかで、視聴者の盛り上がりにかなり差が出ますぞ』