第99章 *追跡マーメイド(アズールの夢)*
『して、ほしいこと?』
アズール『大半の方は金や報復を考えますが、貴女は違うでしょう?だとしたら、貴女の望むことを聞いてそれに応えるのが一番のお詫びになると思うんです。
それとも、金や報復を考えていましたか?』
『ううん、どっちもいらないし考えてない。でも、お願い事はあるから言ってもいい?』
アズール『ええ、勿論』
少し体を離して互いの目を見つめ合うと、アズールの肩に手を置いてそっと口を開いた
『モストロ・ラウンジでご飯食べるとき、アズさんが代わりにお金出して』
アズール『.....は?』
まさかのお願いにキョトンとして何度も瞬きを繰り返す。だがすぐにお願いの内容に異議を申し立てる
アズール『待ってください。食事代の立て替えの件は了解しました。ですが、それだけですか?貴女は他の方よりも少食だ、大した金額にはならない。せいぜい数百マドルで許すというんですか?いくら金に無頓着な貴女でも...』
『アズさん。誰も私"1人だけのとき"とか"一回だけ"なんて言ってない。えと、アズさんはタコさんだから...
8回はどう?』
アズール『は、8回ですか!?しかも、1人限定ではないということは..まさか』
『私がユウとかグリムとか、エースとかデュースたちと来た時はみんなの分も払って、ってこと』
アズール『な、な...それは、さすがに..』
『何でもって言ったのに..アズさんの嘘つき』
アズール『うっ..!し、しかし回数はともかく人数に制限がないのは流石に..いや、でもそれほどのことをしたと思えば..8回なのだから回数をこなしてしまえば..ああでも、クラス全員なんて言われた日には....ブツブツ』
罪への責任と経営者としての立場がせめぎ合い、独り言を呟きながらなんとかしようとしている姿に、段々と内から笑いが込み上げる
『ん、んふふ..あはは、困ってるアズさん可愛い』
アズール『わ、笑わないでください。今真剣にその間の売上や影響を考えているんですから』
『んふふ。可愛いアズさんが見れたからもういいよ。8回はそのままで、私の分だけ払ってくれればいい』
アズール『いいんですか?..それはそれで譲歩された気がして納得できない』