第99章 *追跡マーメイド(アズールの夢)*
"その首輪...あぁ可哀想に。悲しいことでもあったんですね。さぁ、こんなところではなんですから、向こうへ行きましょう。ご安心を...危ないところに連れていこうなどと思っていませんよ"
手を差し出すその姿が、初めて彼と出会ったあの日を彷彿とさせる。心に傷を負い、生徒達の波に呑まれて辿り着いたオクタヴィネル
知らない場所に来てしまい泣きじゃくるレイラに、優しく声をかけ手を差し伸ばしてくれたのは、他でもないアズールだった
ふと重なったあの日の姿に目の奥がじわりと熱をもつ。バレないように俯きながらエアドーム越しに手を取ると、優しく引き上げられた
『あり、がと..』
アズール『お気になさらず..ああ、申し遅れました。僕はアズール・アーシェングロット。コーラル・ラッシュの学生チーム、ゴールデン・トライデントのキャプテンです』
ジェイド『アズール"さん"、先程の試合での活躍、感動いたしました。よろしければ、サインをいただけませんか?』
アズール『もちろん!どこにサインすればいいですか?』
では..と少し考えた後に彼が手を伸ばしたのは、まさかのイデアのタブレットだった
戸惑うイデアをよそにタブレットの裏に大きく名前が書かれ、画面の奥から悲痛な叫びがあがった
ユウ『イデア先輩、ドンマイすぎる。多分そうそう消えるやつじゃないな』
フロイド『....』
アズール『はい、どうぞ。応援ありがとうございます!』
ジェイド『ありがとうございます。これからも頑張ってください!ところで...僕と彼の顔に見覚えはありませんか?』
フロイドの手を引き、二人で顔を並べて問いかける。アズールは、目の前のそっくりな二人の顔をまじまじと見つめ暫し考えると、思い出したようにパッと顔を上げて笑みを浮かべる
アズール『もしかして..エレメンタリースクールで一緒だったリーチ君ですか?』