第98章 *海中サーベイ(ジェイドの夢)*
もう手が出る
そう予感が走り、レイラは意を決してマジカルペンを取り出しトンとジェイドの胸に押し当てた
『ジェイさん』
ジェイド『!..どうされました?何故ペンを突き立てて、』
『今すぐ離して。じゃないと..』
ジェイド『じゃないと?』
『セベクがしたみたいに..ビ、ビリビリさせちゃうから』
ジェイド『....』
ペンを持つ手が僅かに震え、見上げる瞳も戸惑いに揺れる。恐らく本気ではないが、その気になれば放ってくるという可愛らしくも愚かな抵抗にフッと笑う
ジェイド『畏まりました。貴女の電撃はかなり痛いと、あの時のフロイドで十分理解しています』
仕方ないなと言わんばかりに眉を下げ解放すると、レイラは"ごめんね"と一言残し、不機嫌MAXのフロイドの元へと泳いでいく
ジェイド『(ああ、たった数分だけなのに。もう、こんなにも名残惜しい..)』
離れていった小さな兎が残した温もりが、ジワジワと消えていく感覚にそっと目を伏せた
一方、レイラはフロイドの腕に半ば無理矢理引きずり込まれ、少し痛みを感じるほどの強さで抱きしめられていた
『うきゅぅ..く、苦しいよ』
フロイド『..ゴマちゃんさぁ。ほんと、ムカつく』
『え、ご、ごめんなさい..』
フロイド『何にムカついてんのか分かってねぇくせに謝ってんなよ』
『ぇ、ぁ..ん、ごめんなさ、ぁ..』
フロイド『はい、また謝ったぁ。このエアドームから出たらお仕置きね』
『ぁぅぅ..』
キューキュー
『(ぁ..好きって言ってくれてる)私も好き、だよ。だからあのね、お顔見たいの。見せてくれる?』
フロイド『..いいよぉ』
ようやくあげた顔は笑みは浮かべているものの、その瞳はどこか凪いでいるようにも見えた
『フロさん?』
フロイド『..ゴマちゃん。オレもこの際だから言っとくね』
『え、ん..なぁに?』
フロイド『オレもさ、結構飽き性なところあるから、ゴマちゃんのこと今は気に入ってるけど、もしかしたらその内飽きちゃうかもしんない』