第98章 *海中サーベイ(ジェイドの夢)*
『ぁぅ..ジェイさんもごめんね..』
ギ.....
『ジェイ、さん?』
ギ..ギ..
『これ、なんの音?』
ギィ..ギィィ.....
ギィィィィィーーーーッ!!!
それはまるで威嚇音。瞳孔が開ききったオッドアイで去っていった生徒たちの方を睨みながら、いつもは涼しい口元を歪ませ、喉奥から低く擦れるような音を立てる
肩を支えた手に力が入り、ギザギザの歯がガチリと鳴る。今にも彼らへ噛みつきに飛んでいきそうな勢いに、初めて見たレイラは一瞬驚きに身を固くするも、すぐに彼を落ち着かせるために制服をクンッと引っ張った
『ジェイさん、お、怒らないで..私は大丈夫だから』
ジェイド『...!申し訳ありません。つい腹が立ってしまって。それより、お怪我はありませんでしたか?』
『ん、大丈夫。ごめんね、ぶつかっちゃって。でも支えてくれてありがと』
ジェイド『謝る必要はありませんよ。悪いのはあの方たちですから』
先程まで人を殺しそうな目をしていたオッドアイに柔らかい色が戻り、ほっと息を吐いた。そうして、いつの間にか繋がれていた手をそのままに再び歩き出した
『あの後、やっぱりぶつかった肩が痛くてジェイさんに言ったら、またあの音出して怖い顔してた。そしたらその日の授業の終わりに、ぶつかった人達がごめんなさいって言ってきてくれて...ちょっと怪我もしててすごく怖がってた』
フロイド『...あー、なんか思い出したかも。その日、いきなりジェイドがアズールに相談したいことがあるって言って、二人でなんか調べてた。
で、分かった途端に1人2人殺りにいく顔しながら寮飛び出してったんだよね。珍しいから覚えてたけど、あれってゴマちゃんケガさせた雑魚をぶん殴りに行ってたんだぁ』
『そっか...ねぇ、ジェイさん』
ジェイド『はい』
『そこまでしてくれたのって、私のこと前より少しは想ってくれてるってこと?そう、勘違いしてもいい?』
柔らかく純粋な瞳に問いかけられ、ジェイドは一瞬言葉が出なかった
自分の本質は変わらない。だけどあの日から、確実に彼女への想いや見方が変わっているのをハッキリと感じていた