第98章 *海中サーベイ(ジェイドの夢)*
『ジェイさん』
ジェイド『..はい』
『ちゃんと"お話し"して?』
有無を言わさない強い意志を持った輝きが、まるで自分が己のユニーク魔法にかかったような力を感じさせ、観念して困ったように眉を下げた
ジェイド『......はい』
この夢の中でジェイドは最初、アズールとフロイド。そして、レイラと共に陸の山を制覇する旅に出ていた
やがてすべての山を登りきってしまったジェイドは、物足りなさを感じていたところ、故郷の珊瑚の海にはまだ行っていない火山があり、そこに眠る大量の砂金を手に入れたいというアズールの提案を受け入れ、一同は海へと出発することになった
だが、陸の獣人であるレイラは魔法薬ありきでも長時間海にはいられない。おまけに世界中の山を登るという長い旅に疲れ、その提案を拒否したのだ
すると、ジェイドは考える間もなくレイラをあっさり切り捨て、陸に置いて行ってしまったのだ
追い縋るレイラに、既に興味を失ったジェイドはその一切を無視し突き放して、泣き崩れる彼女を残して去っていった
ジェイド『ーーーということで、まさかまた会えるとは思っておらず.....っ!!』
ザシュッと目の前に鋭い爪が迫り、既のところで避けると、垂らした髪の毛先が僅かに切られ水中に漂う
フロイド『ちっ、なんで避けてんだよクソが』
ユウ『フロイド先輩!なんで外すんですか!?ちゃんと顔面狙ってズバってやってくださいよ!』
フロイド『ジェイドが避けるのが悪りぃんだろうが!』
ジェイド『待ってください!夢の中とはいえ酷いことをしました。ですから、それについては今から謝罪を..』
フロイド『夢の中の話限定じゃねぇだろ。興味なくした途端に、あっさり捨てんのは現実でもやってんじゃん。どうせその内、ゴマちゃんに飽きたら捨てるつもりなんだろーが。てかさ、前から思ってたけど..
...お前、そもそもゴマちゃんのこと興味ねぇし、どうでもいいと思ってんだろ』
ジェイド『!そんなことは、』
『ジェイさん』
隣で黙って聞いていたレイラがそっと腕のヒレを摘む。悲しそうに顔を歪める姿にゴクッと生唾を飲んだ