第97章 *接触アパシー(フロイドの夢)*
トクトクと規則正しい鼓動を心地よく聞いていると、頭上で長めのため息が吐き出された。そして優しく、逃さないように抱きしめられ、旋毛から耳へ、そして額から頬と唇へ順番にキスを落とされる
フロイド『..ゴマちゃんってほんっと...
はぁ〜〜〜〜....』
キューキューキュー
『(あ、大好きだよの声..)んふふ、私も大好き』
フロイド『..なんも言ってねぇし』
機嫌が完全に直った訳では無いが、腕の中で心地よさそうに身を預ける小さな兎と、微かに漂ってくる甘く誘う匂いに、それ以上文句を言うことはなく久しぶりの再会を噛みしめた
シルバー『2人とも、無事で本当に良かった。どこも怪我はしていないな?』
フロイド『ん〜〜、まあ一応』
『フロさんが守ってくれたから大丈夫』
ジャミル『分かった。では、フロイドも落ち着いてくれたようだから、改めて俺たちの話を聞いてくれ。
フロイド、君はリリア先輩の送別会で、マレウス先輩の魔法に巻き込まれたことを覚えているか?』
フロイド『..あ?そういえば..なんかメンダコちゃんの送別会に行った気がする。ん?あれ?じゃあなんで今オレ、海の中にいんの?』
オルト『それについては僕が説明するよ。この動画を見てくれる?』
フロイドが対マレウス攻略動画を見ている間、レイラは一旦引き離され少し離れたところでユウに抱きしめられていた
『うむぅ...苦しい』
ユウ『もう、ほんとに心配したんだからね。あのまま巻き込まれてたら..てか、その前に先輩に襲われそうになってたし!』
ジャミル『どちらにしろ危うい状態だったな。どうせ君のことだから、"フロイドなら直前で止める"とでも思ってたんだろ』
『ん。だってフロさん優しいし』
ジャミル『そればっかりだな..まったく警戒心の欠片もない』
ユウ『普段仲良くしてる先輩でも、手は上げてくる..僕も考えを改めないと』
『...ごめん』
ジャミル『これに懲りたら一人でなんとかしようとするな。少しでも危険な雰囲気があれば、不用意に近づくな。いいな?』
『むぅ..』
ジャミル『返事は?』
『.....はい』
若干納得してない拗ねた表情にため息をつくと、ぽよぽよと頭の上のドームを撫で回した