第97章 *接触アパシー(フロイドの夢)*
『...』
迫りくる爪がもう眼前に迫る中、レイラは恐れる様子も怯む様子も見せずにその場を動かなかった
目の前の彼は、決して自分を傷つけたりはしない
いや、"出来ない"という確信があった
だからこそその場を動かないと決めた。そのせいで背後で軋む音に僅かに気づくのが遅れた
ミシミシミシ...
ガラガラガラっ!!!!
『!!』
フロイド『はぁっ?』
シルバー『まずい!2人の頭上の難破船が崩れ始めた!』
セベク『足元が崩されたせいで、残っている部分がバランスを崩したのか!?』
オルト『2人とも!早くその場から逃げて!!』
『ぁ..(だめ、もう..)』
オルトの叫びと崩れた難破船が降り注いだのは同時だった。フッと差した影に振り向いた時には、もう目の前に崩れた難破船の瓦礫が迫っていた
避ける時間も防御障壁を出す時間もない
その瞬間、襲いかかるフロイドにすら抱かなかった恐怖が一気に体の奥底から湧き上がる
『ゃ..たすけ..』
ガラガラガラガラガラッ!!!!!
水中であるにも関わらず、崩れた瓦礫は凄まじい勢いと音を立てて降り注いだ
巻き上がった海底の砂が視界を遮り、2人の姿が全く見えなくなってしまった
グリム『ふなぁ〜っ!!あいつら、どうなっちまったんだ!?』
ユウ『レイラっ!!フロイド先輩っ!!』
シルバー『急いで2人の所へ向かおう!!』
安否を確かめるべくシルバーたちは一斉に駆け寄っていく。まだ砂埃が晴れない中、無惨に突き刺さった瓦礫に冷や汗が走る
ユウ『まさか..そんな』
イデア『オルト!すぐに2人の霊素反応とバイタルを測定して!』
オルト『今やってるよ!
.........!!これは..』